女性科学研究者の環境改善に関する懇談会

女性科学研究者の環境改善に関する懇談会（JAICOWS）

女性科学研究者の環境改善に関する懇談会（JAICOWS）は、女性研究者が科学分野で活躍しやすい環境づくりを目指す団体です。女性科学研究者の人権擁護、研究条件や生活保障の改善を目標に活動しています。

成立経緯

JAICOWSは、日本学術会議における女性会員の提言をきっかけに設立されました。1991年、日本学術会議第15期において、女性科学研究者の環境改善の必要性が訴えられました。しかし、翌16期には女性会員が減少し、危機感を抱いた研究者たちが日本学術会議の外郭団体として1994年にJAICOWSを設立しました。初代会長には一番ケ瀬康子氏が就任し、その後、安川悦子氏、島田淳子氏、原ひろ子氏、羽場久美子氏へと会長が引き継がれ、それぞれの時代において女性研究者の環境改善に向けた活動が活発に行われました。

役員と活動内容

JAICOWSの活動は多岐にわたります。役員には、岩井宜子氏、袖井孝子氏、直井道子氏、浅倉むつ子氏、羽場久美子氏、田原淳子氏、廣瀬真理子氏、小浜正子氏らが名を連ねています。2020年以降は、白波瀬佐和子氏、伊藤美千穂氏、栗田禎子氏、海妻径子氏が新たに役員に加わりました。

具体的な活動としては、辻村みよ子氏、廣瀬真理子氏、江原由美子氏、上野千鶴子氏、浅倉むつ子氏らによる講演会やディスカッションの開催、非常勤講師の雇用問題に関するアンケート調査、ポスドクや若手研究者の貧困問題への取り組みなどがあります。これらの活動を通じて、女性研究者を取り巻く様々な課題に取り組み、日本学術会議の男女共同参画の活動とも連携しながら、研究者全体の環境改善を目指しています。

2021年には、日本学術会議の会員や非常勤講師組合と協力し、大規模なアンケート調査を実施。その結果をまとめた書籍『非常勤講師はいま！ーコロナ禍をこえて』（JAICOWS ブックレット）を出版し、非常勤講師の現状を社会に訴えました。

また、大学の講義を多く担当しながらも不安定な雇用状況に置かれている非常勤教員の教育・研究環境改善を求め、政府や関係大臣に要望書を提出するなど、政策提言も行っています。

事務局は岩手大学に置かれ、海妻径子氏が事務局長を務めています。

Webサイトと情報発信

JAICOWSは、以下のウェブサイトで情報発信を行っています。

旧JAICOWS: http://jaicows.fc2web.com/ (1994－2014年頃まで)
新JAICOWS: http://side.parallel.jp/jaicows/ (2014－現在まで)

年2回発行されるNews Letterは、ウェブサイト上でバックナンバーを閲覧できます。

入会資格

日本学術会議の会員または連携会員である女性科学研究者が入会資格を有します。

主な出版物

『非常勤講師はいま！ーコロナ禍をこえて』（JAICOWS ブックレット、2021年）

関連団体

日本学術会議
日本学術振興会
内閣府男女共同参画局
総合科学技術会議
日本女性科学者の会
日本女性技術者科学者ネットワーク（JNWES）
生理学女性研究者の会
国際ジェンダー学会
ジェンダー史学会

JAICOWSは、女性研究者がより活躍できる社会の実現に向けて、今後も様々な活動を展開していくことが期待されます。

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