如意ヶ嶽の戦い

如意ヶ嶽の戦い（1509年）の詳細解説

如意ヶ嶽の戦いは、永正6年6月17日（1509年7月4日）の夜半、現在の京都市左京区如意ヶ嶽周辺で繰り広げられました。この戦いがどのような規模で行われ、細川澄元らが京都への再侵攻を試みたのか、あるいは阿波国への退路を確保しようとしたのかについては、諸説あります。

開戦までの複雑な経緯

永正4年（1507年）の永正の錯乱により、細川政元が暗殺されると、政元の養子であった細川澄元と三好之長は、澄之派の追討を逃れ、一時的に近江の甲賀へと退避しました。しかし、すぐに京都へ侵攻し、澄之派を討ち破り、澄元は細川氏の当主の座を奪還し、之長も澄元の側近として勢力を拡大しました。

このような混乱に乗じて、かつて政元によって京都を追われた前将軍・足利義稙が、大内義興を頼り上洛を企てました。この動きを察知した澄元は、祖父である細川成之や、政元のもう一人の養子である細川高国に働きかけ、大内義興らとの和睦を画策しました。しかし、高国は家督を奪う野心を抱き、逆に義興と密かに通じ、永正5年（1508年）3月17日、伊勢参宮を名目に京都を脱出、伊賀守護の仁木高長のもとに身を寄せるという事件を起こしました。

同年4月9日、澄元の領国であった摂津・丹波の国人衆は、之長への不満から高国方へと鞍替えし、大内軍が接近する情勢を鑑みた澄元と之長は、自ら屋敷に火を放ち、再び近江へと退避しました。翌10日には高国が京都に入り、6月9日には足利義稙が堺から入京、7月1日に再び将軍職に就き、高国は管領、義興は管領代に任じられました。こうして、澄元を追放した高国が細川氏の当主となったのです。

その後、摂津の国人で澄元派であった池田貞正は討ち死にし、阿波へ逃れようとした芥川豊後守も台風で遭難、豊前守の養子であった芥川信方も高国に騙され殺害されるなど、澄元は苦境に立たされました。

戦いの詳細と阿波への撤退

この状況を打開するため、澄元と之長は永正6年（1509年）6月、琵琶湖を渡り、尾関越から6月17日に如意ヶ嶽に3千の兵で布陣しました。対する高国・大内連合軍は、2万から3万の兵力で如意ヶ嶽を包囲する形で布陣しました。その後、戦闘が開始されましたが、澄元と之長らは阿波へと敗走しました。

澄元と之長による京都奪還は失敗に終わりましたが、足利義澄も健在であり、高国は追討軍を差し向け岡山城の戦いが起こります。

戦いの規模と目的に関する考察

この戦いは、大規模な戦闘ではなかったとする説もあります。澄元・之長軍はわずか3千名であり、この兵力で京都奪還を目指すのは非現実的であるため、戦局の打開や阿波への撤退が目的であったと考えられています。

公家の日記によれば、京都周辺で落ち武者への追討が行われ、約60名が捕縛、処刑されたと記録されており、小規模な戦闘はあったと考えられています。

馬部隆弘は、澄元が当初、祖父である阿波の細川成之との挟撃を狙っていたものの、讃岐の香川氏らが永正5年2月頃から澄元側の寒川氏や阿波へ侵攻したため、成之が出陣を控えたことが敗因であると指摘しています。

生死に関する異説

戦後、之長の子・長秀は父と別れ伊勢に逃亡しましたが、高国の策略により宇治山田で自害したと伝えられています。また、多くの文献で澄元が如意ヶ嶽の戦いの後、阿波へ逃走したとされていますが、岡山城の戦いで逃走したとする説も存在します。

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