妖刀伝

妖刀伝（ようとうでん）

『妖刀伝』は、1987年から1988年の間に全3巻で発表された伝奇時代劇のOVA作品であり、同様の題材の漫画も存在します。本作の正式なタイトルは『戦国奇譚 妖刀伝』です。この作品は、戦国時代の織田信長とその配下にあたる妖魔「朧衆」に対抗するために、3人の忍者—綾之介、左近、龍馬—が戦う物語です。

概要

1980年代におけるOVA作品の中でも特に評価された『妖刀伝』は、日本ビクターのVHDマガジン『アニメビジョン』で連載されていました。本作は、史実に基づき、織田信長時代の天正伊賀の乱から本能寺の変、さらには山崎の戦いに至るまでの歴史を背景に、忍者と妖魔との闘争を絡めたフィクションを展開しています。各エピソードは約40分の尺で構成されています。

本作の原案・監督を務めた山崎理が、1980年代にカナメプロダクションを離れた相原義彰からの企画相談を受けて、『妖刀伝』の制作が始まりました。キャラクターデザインは大貫健一が担当し、彼のビジュアルとアイデアが本作の魅力に大きく寄与しました。この作品はOVA専門誌『アニメV』の年間人気投票において、1987年から1988年にかけて複数の部門で1位を獲得し、特に女性キャラクターの綾之介が女性ファンから支持されていたことが指摘されています。

テレビ放送と後年の展開

『妖刀伝』は1988年から1989年にかけて、よみうりテレビの「アニメだいすき!」枠で全3作が放送され、その後総集編が制作されることになりました。当初は4作が予定されていましたが、初作の評判が悪かったため、3作に縮小されました。しかし、その後の放送で視聴者からの人気を得たことから、総集編が製作に至りました。

さらに、2011年にはバンダイチャンネルで総集編が配信され、海外では『Wrath of Ninja / Yotoden』といったタイトルでDVD化されています。日本国内ではこれまでDVD化が実施されていませんが、2023年にHDリマスター作業が行われ、2024年には上映会が開催されるなど、再評価の動きが見られます。

ストーリー

物語は、織田信長が妖魔「朧衆」を駆使し、天下統一を目指している時代に設定されています。彼は影流忍者が住む香澄の里を襲い、里に伝わる妖刀を受け取った綾女は、男子に成りすまして綾之介として立ち上がります。彼女は、同じく妖刀に関わる左近や、槍を使う龍馬と共に信長に立ち向かいます。

信長の行動に不安を抱いた家臣たちは、明智光秀を中心に動き出し、信長に対する反乱を企図します。この策略を利用して綾之介たちは信長に挑むも、待ち受けていたのは影武者でした。最終的には、彗星が輝く夜、綾之介たちは安土城に侵入し、信長と対峙することに。当初は無理と思われた彼らも、持ち得る力を合わせ、神秘的な敵を切り抜けます。

作品を通じて描かれるは、信長が持っていた魔性の影と彼に仕える者たちとの闘い、さらには仲間たちとの結束が鍵となっています。本作は、視覚的な表現だけでなく、深いストーリーラインにより多くのファンを魅了する伝説的な作品となりました。

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