妙木忍

妙木 忍

妙木 忍（みょうき しのぶ）氏は、1977年に生まれた日本の社会学者です。専門分野はジェンダー研究および観光研究であり、社会における多様な現象を社会学的な視点から探求しています。特に、女性間の関係性や、観光という文化装置が持つ意味合いについて深く考察を重ねています。現在、東北大学の准教授として、教育と研究の第一線で活躍しています。

経歴

高知県で育った妙木氏は、高知大学教育学部で英語を学びました。その後、学術への関心を深め、京都大学大学院人間・環境学研究科の修士課程で社会文化研究を修めました。さらに東京大学大学院人文社会系研究科に進学し、社会学専門分野の修士課程および博士課程を修了しています。この間、博士論文として「ライフコースの多様化が生み出す女性間の対立と葛藤 戦後「主婦論争」を通して」を執筆し、2009年に東京大学から博士（社会学）の学位を取得しました。この論文は、戦後の日本社会で展開された「主婦論争」という歴史的な議論を通して、女性たちが社会の変化の中で直面した葛藤や、その内部で生じた対立構造を社会学的に分析したものです。

博士号取得に先立ち、2006年度には北海道大学観光学高等研究センターで学術研究員として研究に従事しました。その後、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所のジュニア・フェロー（2009年）や、東京大学医学部附属病院手術部での技術補佐員（2011年）といった多様な経験を積んでいます。2012年からは再び北海道大学に移り、創成研究機構URAステーション特任助教、文学研究科応用倫理研究教育センター助教（2013年）、国際本部留学生センター特任助教（2014年）と、異なる部署で教育・研究支援や国際交流関連の業務に携わりました。そして2016年、東北大学国際文化研究科地域文化研究系国際日本研究講座に准教授として着任し、現在に至ります。これらの多様な研究機関や部署での経験は、妙木氏の研究テーマの広がりや深まりに繋がっていると言えるでしょう。

主な著作

妙木氏の研究成果は、複数の著作として公刊されています。特に代表的なものとして、以下の二冊が挙げられます。

『女性同士の争いはなぜ起こるのか 主婦論争の誕生と終焉』（青土社、2009年）：自身の博士論文の内容を基にした書籍です。専業主婦を巡る戦後の社会的な議論を詳細に分析し、女性たちが置かれた状況や、その中で生まれた軋轢の背景を掘り下げています。この著作は、ジェンダー研究の分野において重要な一冊とされています。
『秘宝館という文化装置』（青弓社、2014年）：日本の大衆文化の一端である「秘宝館」に焦点を当てた研究書です。秘宝館という特殊な空間が持つ文化的・社会的な意味合いを、「観光」という視点から解き明かそうとしています。これにより、観光研究の対象を多様な領域に広げ、文化装置としての観光のあり方を考察しています。

これらの著作は、妙木氏が専門とするジェンダー研究と観光研究という二つの分野を結びつけ、独自の視点から社会現象を分析する姿勢を示しています。

関連する議論

妙木氏の研究テーマ、特に女性間の関係性や社会的な役割を巡る議論は、戦後日本の社会で活発に行われたいくつかの議論とも関連が深いです。例えば、専業主婦論争やアグネス論争といった、女性の働き方や家庭における役割、子育てなどを巡る公的な議論は、妙木氏が探求する女性間の葛藤や社会構造を理解する上で重要な文脈となります。

現在、妙木氏は東北大学で教育・研究活動を続けながら、これらのテーマに関する知見を深め、社会学、ジェンダー研究、観光研究の分野に貢献しています。今後のさらなる研究活動とその成果が期待されています。

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