妙法寺 (恵那市)

妙法寺

妙法寺は、岐阜県恵那市岩村町にある日蓮宗の寺院です。

歴史

妙法寺の創建は、江戸時代初期の承応年間に遡ります。当時、岩村藩主であった丹羽氏定の娘、多阿姫が難産の際に苦しんだため、日蓮宗の日輝上人に祈祷を依頼したところ、無事に安産を果たしました。この出来事をきっかけに、氏定は一寺を建立し日輝上人を迎えようとしましたが、代わりに伊豆国玉沢の妙法華寺の僧、日亮が紹介され、彼が妙法寺を開山することとなりました。

当初、山号は妙法華寺と同じく経王山とされましたが、数年後、丹羽氏定が亡くなり、その戒名「興昌院殿桃雲宗萼大居士」にちなみ、桃萼山と改められました。丹羽氏は妙法寺を保護し、50石を寄進していましたが、5代目の丹羽氏音が元禄15年（1702年）に越後の高柳藩へ転封となると、妙法寺は民間の寺院となりました。その後、岩村の有力者であった山内五郎左衛門の尽力により、寺は大きく発展しました。

天保年間に大火に見舞われ、諸堂が焼失してしまいましたが、住職の日勇と日令の二代にわたる尽力によって復興を遂げました。また、明治初頭の廃仏毀釈の際には、苗木藩によって廃寺とされた佛好寺から多くの寺宝を引き継ぎ、今日に至っています。

山門として使用されているのは、かつて岩村城の城門であった二の丸赤時門です。山門に掲げられた「不弐門」の扁額は、儒学者である頼山陽の筆によるものです。

まくら冢と五佛寺

丹羽氏定の後を継いだ丹羽氏純は、戦国末期に岩村城の戦いで織田信長によって逆磔に処刑された武田方の武将、秋山虎繁と、その妻おつやの方の霊の祟りを恐れていました。その祟りによって岩村藩主が災難に遭ったり、後継者が夭折すると信じられていたため、鎮魂のために妙法寺の境内に天台宗の恵照山五佛寺を建立しました。そして、丹羽氏明の母である香樹院の兄が剃髪して五佛寺の住職となりました。

五佛寺は、元禄15年（1702年）に5代目の丹羽氏音が越後高柳藩へ転封になった際、本尊を土岐郡の桜堂薬師に移して廃寺となりました。しかし、妙法寺の境内には、秋山虎繁とその妻の供養塔である「まくら冢」が現在も残っています。

寺宝

妙法寺には、以下のような貴重な寺宝が所蔵されています。

宗祖日蓮大菩薩像
火中出現板本尊
三十番神像火中不焼宗祖真筆
十界曼荼羅本尊
涅槃画像
三十番神像
七面大明神像
加藤清正公像

参考文献

『岩村町史』　十八　江戸時代の宗教　妙法寺 　p318～p320 　岩村町史刊行委員会　1961年
『女城主の里　いわむら』　いわむら町まちづくり実行委員会　平成5年

外部リンク

* 桃萼山　妙法寺

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