嬬恋村の歌

嬬恋村の歌

「嬬恋村の歌」は、群馬県吾妻郡嬬恋村が制定した村歌です。作詞は赤石幸吉、作曲は小林秀雄が担当しました。

制定の経緯

1950年（昭和25年）、嬬恋村では観光協会が発足し、初代会長には当時の村長であった山崎勝蔵が就任しました。観光協会の事務局は村役場の観光民生課に置かれ、課長が事務局長を兼務していました。同年夏、観光協会は発足記念事業として、村章のデザインと村歌、そして新民謡の歌詞を懸賞募集することを決定しました。上毛新聞に広告が掲載され、10月16日に各部門の入選作品が発表されました。

村歌の入選者は長崎市から応募した赤石幸吉で、彼は4年後の1954年（昭和29年）には長崎大学学芸学部の歌を作詞しています。同時に募集された「嬬恋小唄」では、茨城県からの応募作が採用されました。作曲は2曲ともビクターレコードを通じて、父親が村出身という縁で小林秀雄に依頼されました。ビクターレコードにより、A面には竹山逸郎と平野愛子が歌う「嬬恋村の歌」、B面には渡辺はま子が歌う「嬬恋小唄」が収録されたSP盤（規格品番：PR-1130）が製造されました。

歌詞の類似性

入選した歌詞は、前年4月に制定された神奈川県の県民歌「光あらたに」と酷似している点が指摘されています。「光あらたに」もビクターがSP盤を製造しており、「嬬恋村の歌」の特に1番の歌い出し部分は「光あらたに 雲染めて……」、1番の結語が「……花の咲くところ」と、「光あらたに」の1番と3番と完全に同じです。

カバーバージョン

現在広く知られている「嬬恋村の歌」は、ビクター製造の竹山・平野による創唱版ではなく、和田香苗が編曲した日本コロムビア製造の大川栄策と青山和子によるカバーバージョンです。このカバー盤の発売以降、村外でもご当地ソングとして認識されるようになりました。

1972年（昭和47年）、村観光協会はコロムビアに依頼し、村歌「嬬恋村の歌」を大川と青山、新民謡「嬬恋小唄」を都はるみがそれぞれカバーしたシングル盤（規格品番：PES-7310）を製造しました。このレコードの歌詞カードでは、作詞者の姓が「赤石」とすべきところが、誤って「明石」と記述されています。

2013年（平成25年）からは、嬬恋村文化協会がコロムビアに製造を委託した「嬬恋村の歌」と「嬬恋小唄」に加え、島倉千代子が歌う「嬬恋慕情」、冠二郎とわかばちどりが歌う「つまごい音頭」の計4曲を収録したCDが、嬬恋郷土資料館で販売されています。

参考文献

嬬恋村誌編集委員会 編『嬬恋村誌』下（嬬恋村役場、1977年） NCID BN11133602

関連項目

群馬県の市町村歌一覧

もう一度検索