子守神社

子守神社：子どもの守護神を祀る神社

日本各地に点在する「子守神社」は、その名の通り、子どもたちの成長を見守り、守護する神を祀る神社です。地域によっては氏神として崇められたり、氏神神社の境内に末社として祀られている場合もあります。表記には「子守神社」「籠守神社」「子護神社」など、いくつかのバリエーションが見られます。

子守神社の起源：二つの系統

子守神社の起源は大きく分けて2つの系統に分類されます。一つは「水分神（みくまりのかみ）」を起源とする系統、もう一つは熊野本宮大社第八殿・子守宮を起源とする系統です。

水分神系統

水分神は、本来は水の分配を司る水神です。しかし、「みくまり」という語が転訛し、「みこもり（御子守）」と呼ばれるようになり、次第に子どもの守護神としての側面が強調されるようになりました。この系統の総本社は、奈良県吉野町にある吉野水分神社です。多くの神社がこの系統に属し、地域に根付いた信仰として受け継がれています。

熊野本宮大社系統

熊野本宮大社第八殿・子守宮は、熊野権現の御子神とされています。古文献『梁塵秘抄』には「神の家の子公達は、八幡の若宮、熊野の若王子・子守御前」と詠まれており、その存在が古くから認識されていたことが伺えます。この系統の神社としては、和歌山県海南市の藤白神社の末社である楠神社（通称 子守社）などが知られています。

その他の子守神を祀る神社

上記以外にも、奈良県奈良市の率川神社など、子守神として信仰を集める神社が各地に存在します。これらの神社は、それぞれの地域の歴史や文化と深く結びつき、人々の生活に寄り添ってきました。

子守神社の例

以下は、各地にある子守神社の例です。水分神系統、熊野本宮大社系統以外にも、地域独自の信仰形態を持つ神社も多く存在します。

水分神系統

子守神社（神奈川県鎌倉市）
子守神社（岐阜県可児市）
子守神社（京都府京丹波町）
籠守勝手神社（愛知県一宮市）
子守勝手神社（京都府長岡京市）

その他

子守神社（千葉県千葉市）
子守神社（静岡県河津町大鍋）
子守神社（京都府宇治市、巨椋神社境内社）
率川神社（奈良県奈良市）
子守神社（奈良県平群町）

関連する信仰

子守神社と同様に、子どもの安産や成長を祈願する信仰は古くから日本各地で行われてきました。子守神社と関連性の深い信仰として、以下のようなものがあります。

子安神社
子安地蔵
子安地蔵堂
子安地蔵寺
子守地蔵
子育地蔵
* 水天宮

これらの信仰は、それぞれ独自の様式や伝承を持ちながらも、共通して子どもの健やかな成長を願う人々の思いが込められています。子守神社は、そうした信仰の象徴として、現代においても人々に寄り添い続けています。

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