季弘大叔

季弘大叔（きこう だいしゅく）

季弘大叔は、室町時代中期の応永28年（1421年）に生まれ、長享元年（1487年）に没した臨済宗の僧侶です。蔗軒、蔗庵、竹谷など、多くの別号を持っていました。

生涯

備前国（現在の岡山県）で生まれた季弘大叔は、幼くして備前願心寺で出家しました。永享5年（1433年）には京都の東福寺に入り、竹庵大縁の門下となります。応仁元年（1467年）には大和国（現在の奈良県）で華厳宗と法相宗の講義を学び、仲以篤、月泉祥洵、雲章一慶、勝剛長柔といった当時の著名な僧侶や文化人と交流を深めました。

文明6年（1474年）には東福寺の塔主となり、文明15年（1483年）には和泉国（現在の大阪府）の堺にある海会寺の住職に就任しました。その後、京都に戻り、文明12年（1480年）には東福寺の第174世住職となりました。しかし、翌年には病のため再び海会寺に戻りました。晩年は、当時の臨済宗の僧侶たちと盛んに交流し、禅僧の生活などについて講義を行いました。

季弘大叔は、五山文学僧らと親しく交わる一方で、観音信仰と浄土思想を深く信仰していました。その思想は、彼の著作にも反映されています。

著作

蔗軒日録：季弘大叔の日記
蔗庵遺稿：季弘大叔の遺稿集

人物

季弘大叔は、学問に励み、多くの僧侶や文化人と交流することで、自身の思想を深めました。また、観音信仰と浄土思想を大切にし、その教えを広めることにも尽力しました。彼の著作や活動は、室町時代の禅宗文化を知る上で貴重な資料となっています。

参考文献
デジタル版 日本人名大辞典+Plus（講談社）『季弘大叔』- コトバンク
朝日日本歴史人物事典（朝日新聞出版）『季弘大叔』- コトバンク
* 世界大百科事典 第2版（平凡社）『季弘大叔』- コトバンク

もう一度検索