学生三代記

学生三代記

『学生三代記』（がくせいさんだいき）は、1930年に公開された日本のサイレント映画シリーズであり、マキノ・プロダクションによって製作されました。このシリーズは、天保、明治、昭和の異なる時代を描いた全3篇から構成されており、それぞれが独特のコメディ要素を持っています。特に『昭和時代』は短編形式のオムニバス作品として、全8話が展開されます。

製作背景

このシリーズが製作される前の1928年、マキノ・プロダクションは、若手俳優の総退社事件を経験しました。この危機は、監督マキノ正博の青春トリオ作品『浪人街 第一話 美しき獲物』を通じて新しいスターの登用が功を奏し、乗り越えられましたが、経営状況は依然として厳しく、1930年の春に『学生三代記』の製作に至ったのです。この映画は「マキノ超特作映画」と題され、公開初日には全3篇が同時上映されました。

各作品の特徴

天保時代

『学生三代記 天保時代』では、根岸東一郎が主演を務め、マキノ登六や新見映郎といった先代からの俳優が参加しています。この作品は、異なる文化や生活様式が描かれる中で、時代の面白さを引き出すことを狙っています。

明治時代

次に『学生三代記 明治時代』が上映され、主演の南光明をはじめ、マキノ家族の俳優も多数出演しています。特に、この作品では新進脚本家八田尚之の脚本が魅力的で、軽妙な会話と共に当時の社会状況を映し出しています。

昭和時代

最後に『学生三代記 昭和時代』。このオムニバス作品では、津村博や河津清三郎などが活躍し、様々なストーリーが演じられます。時系列にはこだわらず、各話が独立したテーマを持ち、長編映画とは又違った視点で観客を楽しませます。

発見と復元

不運にも、これらの映画が公開された後、1932年に御室撮影所が火災に見舞われ、多くのオリジナルネガや上映用プリントが失われました。しかし2006年に、オムニバス『学生三代記 昭和時代』の一部が個人宅から発見され、2007年には復元される運びとなりました。この復元により、再びこのシリーズを楽しむことができるようになり、2008年にはフィルムセンターで上映されました。なお、著作権も既に切れているため、一部映像がYouTubeで公開されています。

終わりに

『学生三代記』は、日本映画の歴史において重要な位置を占める作品です。この映画シリーズは、製作から90年以上が経過した現在も、映画文化における重要な価値を持ち続けています。映画保存協会等の努力によって蘇ったこの作品は、今後も多くの人々に愛されることが望まれます。

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