孫巌

孫巌（そん がん）

孫巌は、元末から明初の激動期を生きた軍人です。後至元5年11月11日（1339年12月11日）に生まれ、永楽16年6月20日（1418年7月27日）にその生涯を閉じました。本貫は濠州鍾離県です。

生涯

孫巌は、孫重四と周氏の間に生まれました。元末の混乱期に頭角を現し、朱元璋に従ってその軍事活動に貢献しました。長江を渡って采石を攻略し、集慶を平定するなど、初期の明朝の樹立に大きく貢献しました。その後も、両浙、江西、広東など各地を転戦し、その武勇を示しました。

徐達が率いる北伐にも参加し、中原の制圧に貢献しました。これらの功績により、金吾左衛百戸に抜擢され、鳳陽の守備を任されました。さらに、武徳将軍の号を受け、燕山中護衛正千戸として、後の永楽帝となる燕王朱棣に仕えることになりました。燕王からは厚い信頼を得て、燕国の事務の多くを委任されたと伝えられています。

洪武28年（1395年）に一旦官職を退きましたが、建文元年（1399年）に靖難の変が勃発すると、その軍事的な才能が再び必要とされました。通州の守将であった房勝が城ごと燕王朱棣に降伏したことを受け、朱棣は孫巌を再び起用し、房勝とともに通州の守備を任せました。建文帝側の軍勢が通州を攻撃してくると、激しい攻城戦で城の楼閣や城壁は大きく損傷しましたが、孫巌と房勝は巧みな指揮で防戦に徹し、敵軍を撃退することに成功しました。

その後、両軍が激戦を繰り広げる中で、孫巌は自ら兵の先頭に立って敵陣に突撃しました。張家湾まで敵を追撃し、糧食を輸送する船300隻を鹵獲するという大きな戦果を挙げました。その功績により、明威将軍・指揮僉事に任命され、引き続き通州の守備を担いました。建文3年（1401年）に再び建文帝側の軍が通州に侵攻してきましたが、孫巌は城壁の上で味方を鼓舞し、矢石を雨あられのように降らせて敵を撃退しました。この功績により、都指揮僉事に進みました。

建文4年（1402年）、平安が通州を攻撃してきた際にも、孫巌は城から出撃して敵軍を打ち破りました。永楽帝（朱棣）が即位すると、孫巌は守城の功績を高く評価され、応城伯に封じられ、1000石の禄を賜りました。永楽11年（1413年）には、開平の守備を任されましたが、その後まもなく通州に再び移駐しました。しかし、私怨から千戸を殺害してしまい、その罪により爵位を剥奪され、交趾（現在のベトナム北部）に流罪となりました。その後、まもなくして復帰が許されています。

永楽16年6月20日（1418年7月27日）、孫巌は亡くなりました。その死後、翼城侯を追封され、威武という諡号が贈られました。

子女

孫巌には、以下の息子たちがいました。

孫亨（後嗣）
孫忠
孫旺
孫喜
孫泰
孫栄

参考文献

『明史』巻146 列伝第34
故応城伯追封翼城侯孫公巌神道碑銘

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