孫承宗

孫承宗（そん しょうそう）：明末の文武に秀でた官僚

孫承宗は、1563年に生まれ、1638年に没した明末の官僚であり、武将としてもその名を馳せました。字は稚縄といい、天啓帝の師としても知られています。彼は文武両道に秀でた人物であり、その生涯は激動の時代を生き抜いた英雄の姿を映し出しています。

科挙合格から朝廷での活躍

保定高陽出身の孫承宗は、1604年に科挙に合格し、翰林院編修という役職に就きました。その後、天啓帝の教育係である日講官に任じられ、少詹事に昇進しました。1622年には、兵部尚書と東閣大学士という要職を兼務し、自ら志願して関外の軍を監督することになりました。彼は、軍の規律を厳しく正し、逃亡した将軍を処罰するなど、軍の立て直しに尽力しました。

関外での彼は、11万の兵士を訓練し、400里の土地を開拓、5000頃の田を耕し、15万両もの収益を上げるなど、軍事だけでなく経済面でも優れた手腕を発揮しました。

魏忠賢との対立と一時的な退役

1626年、孫承宗は軍隊の簡素化を主張した際、宦官の魏忠賢と意見が対立し、自ら退役を申し出ました。その後、光禄大夫に任命され、息子たちもそれぞれ役職を得ましたが、彼の心には常に国家への思いがありました。

再び戦場へ

1629年、孫承宗は再び軍に招集され、通州と山海関で後金の侵攻を防ぐために奮闘しました。その功績により太傅の位を授けられましたが、これを固辞しました。1631年には再び関外へ出て、松山と錦州の軍務を担当しました。しかし、友人の祖大寿が清軍に降伏した（実際は偽装降伏）ことで弾劾を受け、病気を理由に帰郷することになりました。その後、再び召集の命令がありましたが、彼はこれに応じませんでした。

一家をあげての壮絶な最期

1638年、清軍が故郷の高陽を包囲した際、老齢の身でありながら、孫承宗は子や孫たちと共に義勇軍を指揮して城を守りました。しかし、清軍に城を破られ、一族全員が壮絶な戦死を遂げました。その忠義を讃え、南[[明]]の弘光帝から文正の諡号が贈られました。

参考資料

『崇禎長編』
『明史』
* 『明季北略』

孫承宗は、文武両道に秀で、激動の時代に国のために尽くした人物でした。彼の生涯は、明朝末期の混乱期における忠義と勇気の象徴として、後世に語り継がれています。

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