孫皎

孫皎（そん こう）

孫皎（そん こう）は、後漢末期から三国時代の呉にかけて活躍した武将。字は叔朗（しゅくろう）。呉の創始者である孫権の従兄にあたる。

生涯

若くして一門衆として仕え、護軍校尉に任命され2千の兵を預かる。程普の死後、その跡を継いで夏口の守備を任され、都護・征虜将軍に昇進。黄蓋や兄の孫瑜の死後、彼らの部隊も引き継ぎ指揮を執った。領地として沙羡・雲杜・南新市・竟陵を与えられ、代官を置いて統治させた。

215年、孫権が劉備に荊州の返還を求めるが拒否されたため、呂蒙を派遣して長沙・零陵・桂陽を攻めさせた。孫皎も呂蒙軍に加わり、長沙・桂陽を降伏させることに貢献。零陵攻略では、呂蒙が太守の郝普に偽情報を伝えて降伏させる策を成功させた。その後、孫皎は孫河を三郡に置いて鎮守を委ね、関羽と魯粛が対峙する益陽へ呂蒙と共に進軍した。

209年から217年にかけて、曹操が濡須を攻撃した際には、度重なる迎撃で曹操軍を食い止め、その武勇は「精鋭」と謳われるほどであった。

219年の荊州奪還戦では、当初孫権は呂蒙と孫皎に軍を二分して指揮させようとしたが、呂蒙の進言により総指揮系統の一本化が図られ、孫皎は後詰めの任に留まった。関羽討伐戦では、呂蒙と共に参戦し、多くの見張り台を攻略。関羽を捕らえるという大きな功績を挙げた。しかし、その直後に病死。彼の役職と軍勢の多くは、弟の孫奐が引き継いだ。

人物

人々に施しをすることを好み、諸葛瑾をはじめとする名士たちとの交流も盛んであった。金品を惜しまず分け与える人物であったという。劉靖、李允、呉碩、張梁といった有能な人材を登用し、彼らを適材適所に配置したため、彼らは皆、力を尽くして職務に励んだ。ある時、兵士が敵地から女性を連れ帰って献上した際、孫皎は女性に衣服を与え丁寧に送り帰し、民衆を慈しむように軍に徹底させたため、名声を得るようになった。

夏口の守備を任されていた頃、配下であった甘寧が、酒席で身分差を理由に軽く扱われたことに激怒し、呂蒙の指揮下に移りたいと孫権に嘆願したことがあった。孫権が孫皎を諭したため、孫皎は年長の甘寧に謝罪し、その後は親しく付き合ったという。

子孫

孫皎の生前の功績を評価した孫権は、その子の孫胤を丹陽侯に封じた。孫胤に子がいなかったため、弟の孫晞が跡を継いだが、罪を犯して自殺したため領地は没収された。その他の子である孫咨・孫弥・孫儀も将軍となり、侯に封じられた。孫咨は羽林督、孫儀は無難督にまで昇進したが、呉後期の政争に巻き込まれ、孫咨は滕胤に、孫儀は孫峻によって殺害された。

脚注

注釈

出典

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