孫峻

孫峻（そん しゅん）

孫峻は、三国時代の呉に仕えた武将・政治家であり、呉の皇族である孫氏の一族に連なります。字は子遠。

生涯

若き頃から馬術や弓術に長け、その果断な性格で知られていました。孫権の晩年には側近として仕え、二宮事件における孫和の廃位、孫亮の擁立に深く関与します。孫権の死後、遺言により諸葛恪が後事を託されると、孫弘を唆してその暗殺を企てますが失敗。逆に諸葛恪にその企みを暴かれ、共謀して孫弘を殺害しました。

孫亮の即位後、孫峻は諸葛恪、滕胤と共に政治を執り行います。しかし、魏への度重なる遠征の失敗から、諸葛恪が次第に独裁色を強めると、孫峻は孫亮を抱き込み、諸葛恪を宴席で暗殺しました。その後は、諸葛恪の一族や関係者を粛清し、さらには孫和を自殺に追い込むなど、その権勢をほしいままにしました。

丞相・大将軍となると、皇帝を傀儡として政治を壟断。その独裁的な振る舞いは、多くの人々の恨みを買いました。全公主（孫魯班）と密通し、彼女の意を受けて宮女を犯すなど、その悪行は枚挙に暇がありません。

五鳳元年（254年）、孫英による暗殺計画が発覚し、孫英は自殺。翌年には、魏の毌丘倹・文欽の反乱に乗じて寿春を襲撃しようとしますが、魏の反撃に遭い失敗。文欽を降伏させますが、留賛が魏の追撃を受け戦死するなど、苦戦を強いられます。その後も蜀漢からの使者を迎えた宴席で、孫儀らによる暗殺計画が発覚し、関係者が多数処刑されるなど、常に暗殺の危機に晒されていました。

北伐の拠点として広陵に城を築こうとしますが、民衆の疲弊を招き、軍士らの心も離れていきました。文欽の進言により青州・徐州へ侵攻を試みますが、呂拠の軍勢を目の当たりにし、警戒心を抱き撤退。直後、諸葛恪に殴られる悪夢を見て病に倒れ、五鳳3年（256年）に39歳で死去しました。

死後、孫峻の地位は従弟の孫綝が引き継ぎ、孫峻と同様に専横を極めます。しかし、孫綝もまた孫休の策謀により処刑され、孫峻の墓は暴かれ、副葬品を剥奪された上で、棺を削って埋め戻されるという、悲惨な末路を辿りました。孫休は、孫峻・孫綝との関係を否定し、彼らを一族の系図から抹消しました。

小説『三国志演義』では、諸葛恪暗殺の首謀者として描かれています。

参考文献

* 陳寿、裴松之注『正史 三国志』(ちくま学芸文庫)

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