孫奐

孫奐（そん かん）

孫奐は、中国三国時代の呉に仕えた武将であり、呉の宗室の一人です。字は季明（きめい）といい、父は孫静、兄に孫暠・孫瑜・孫皎、弟に孫謙がいます。子には孫承・孫壱・孫封がおり、娘は滕胤と呂拠に嫁ぎました。

生涯

建安24年（219年）、兄である孫皎が亡くなったため、その軍勢を引き継ぎ、揚武中郎将・江夏太守に任命されました。孫奐は、一見おっとりとした人物に見られましたが、人を見る目に長けており、兄から引き継いだ部下の劉靖・李允・呉碩・張梁といった有能な人材を重用しました。また、閭挙という人物を礼遇し、それぞれの能力に応じて仕事を任せることで、彼らは見事に職務を遂行しました。

黄武5年（226年）、孫権が魏の江夏の石陽を攻めた際、孫奐も江夏太守として従軍しました。孫権が石陽を包囲する中、曹叡が荀禹を援軍として派遣し、孫権の後方を撹乱したため、孫権は20日余りで包囲を解いて撤退を決意しました。殿軍を潘璋に任せて夜間に撤退する際、混乱が生じました。文聘が城から出て潘璋を追撃する中、孫奐は鮮于丹に魏軍の淮水退路を断たせ、自らも呉碩・張梁の兵を率いて先鋒となり、江夏郡の高城を攻略し、敵将3名を捕らえるという戦果を挙げました。孫権は、凱旋した孫奐の堂々とした姿を見て、以前は利発さに欠ける人物と評価していたことを改め、その武勇を認めました。その後、孫奐は揚威将軍・沙羡侯に任じられました。

黄武7年（228年）の石亭の戦いでは、周魴が偽りの降伏を装うために魏の曹休に宛てた手紙の中で、孫奐が孫権から安陸城の修築と兵糧の搬送を命じられたと記述されていました。しかし、実際にそのような命令があったかどうかは定かではありません。

孫奐は、兄と同様に学問を好み、部曲の子弟たちに学問を奨励し、多くの子弟が朝廷に仕える人材として輩出されました。

嘉禾3年（234年）、40歳という若さで亡くなりました。爵位は子の孫承が継承しました。

孫奐は、武将としての才能だけでなく、人材育成にも尽力した人物として、後世に名を残しています。

人物評価

孫権は当初、孫奐のことを利発さに欠ける人物と評価していたが、石陽からの撤退戦での活躍ぶりを見て評価を改めた。

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