宇佐美誠

宇佐美誠のプロフィール

宇佐美誠（うさみ まこと、1966年生まれ）は、日本の著名な法学者であり、京都大学の教授を務めています。彼の専門は法哲学であり、特に法の概念や正義についての研究を行っています。彼は法学に対する深い洞察と批判的視点から、多くの学生や研究者に影響を与えてきました。

人物背景

宇佐美は愛知県名古屋市に生まれました。名古屋大学法学部に在籍中、彼は正義や善についての価値判断に関する相対主義的な考えを持っていました。しかし、次第にその考えに疑問を抱くようになり、哲学を学ぶ過程で、価値判断には正解が存在する可能性があるという確信を抱くに至りました。この気づきが、彼の法哲学への道を開くこととなったのです。

彼は、討論型授業の先駆者として知られています。この授業形式では、まず講義が行われ、続いて学生からの質問や意見を受け付け、対話を通じて深い理解を促進するスタイルです。彼は東京大学や名古屋大学、北海道大学、慶應義塾大学などでこの方法を取り入れてきました。特に、彼の授業がNHKの「白熱教室JAPAN」に取り上げられたことは、彼の教育スタイルの注目を集める契機となりました。この形式は一般市民向けの講演にも応用され、多くの人々に知識を伝える際に貢献しています。

主な研究領域

宇佐美の専門領域は法概念論と正義論、特に法価値論が中心です。法概念論に関しては、彼は法実証主義に批判的であり、ロナルド・ドウォーキンの解釈主義に近い立場を取っています。正義論では、正義の概念をより広範に探求し、特に環境問題を題材にした世代間正義に注目しています。従来の正義思想では同時代の人々にのみ正義が適用されるとされていましたが、彼は世代を超える正義への考察を進めています。また、南北問題に関連してグローバルな正義についても研究し、気候正義に関する議論を先導しています。

さらに、彼は過去の人権侵害にどう取り組むかという移行期正義（特に真実和解委員会）についても考察を深めています。さらに、法と経済学、法政策学、社会選択理論など、社会科学と法哲学の架け橋となるような研究も行っています。市民社会や公共性、ベーシックインカムについても幅広く論じています。最近では人工知能や地球の危機に関する倫理的な考察にも注力しています。

所属と役職

宇佐美は、日本公共政策学会の副会長および理事や、日本ユネスコ国内委員会の委員を歴任してきました。現在は、日本公共政策学会の会長や法と経済学会の常務理事、日本法哲学会の理事、先端技術倫理学会の理事を務めています。

学歴と職歴

宇佐美は1989年に名古屋大学法学部を卒業後、1991年に名古屋大学大学院法学研究科の博士課程に進学し、1996年に博士（法学）を取得しました。その後、名古屋大学法学部の助手や中京大学の専任講師や助教授を経て、2004年から東京工業大学で教授に就任します。2013年には京都大学大学院地球環境学堂の教授に就任し、国際的な視点からも研究を進めています。また、ハーバード大学客員研究員や高知工科大学客員教授としても活動しています。

著書と業績

宇佐美は多くの著書や論文を執筆しており、以下のような著書があります：

• - 『公共的決定としての法』（1993年）
• - 『決定』（2000年）
• - 『その先の正義論』（2011年）
• - 『気候崩壊』（2021年）

これらの著作は法哲学や正義論に関する彼の考えを表現しており、学術界だけでなく一般読者にも広く影響を与える内容となっています。彼の研究は、法哲学の重要な発展を促進し、私たちが直面する現代的課題に対する解決策を探る手助けとなっています。

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