廣田内閣

広田内閣について

広田内閣（ひろたないかく）は、外務大臣の広田弘毅が第32代内閣総理大臣として1936年3月9日に発足し、1937年2月2日まで続いた日本の内閣です。広田内閣は、前内閣での経験を生かし、実質的には挙国一致の姿勢を示していました。

発足背景

広田内閣は、元老・西園寺公望の推薦を受け、当時の岡田内閣で外務大臣を務めていた広田弘毅が、軍部の影響が強まる中で組織した内閣です。特に二・二六事件の影響を受ける中で、軍部との関係構築は非常に難航しました。日本の国家政策として国防を重視し、経済の国家統制を進める姿勢が際立っていました。

主要政策

広田内閣は、特に準戦時体制の整備に努めました。五相会議を通じて軍備の増強計画を策定し、国策の基準を定めることに着手しました。また、軍部大臣現役武官制を復活させ、日独防共協定を締結するなど、軍国主義的な体制へ足場を築く役割を果たしました。そして、国民精神の醸成を重視し、『国体の本義』を刊行し、文化面でも新しい試みを提示しました。

内閣の苦境

経済面においては、財政政策を担当する馬場鍈一蔵財相が超大型の昭和十二年度予算案を組むと、商社が軍需品の需要の増加を見込んで輸入を急増させ、結果的に輸入為替の大量流入を招きました。これにより円が下落し、市場は物価高騰に見舞われ、混乱を引き起こしました。この中で、浜田国松議員と寺内寿一陸相との間で「割腹問答」と呼ばれる政治的対立が生まれ、寺内が衆議院を懲罰解散するよう広田に要求する事態に発展しました。

この政治的混乱に対し、広田は閣内不一致を理由に総辞職を決断し、十二年度予算案も廃案にすることとなりました。

結びとエピソード

広田内閣はその発足から終焉まで数々の難局を乗り越えようとしましたが、政治的な対立や経済的困難が相次ぎ、内閣は持続しませんでした。特筆すべきは、現在の国会議事堂が廣田政権の1936年11月7日に「帝国議会議事堂」として完成したことです。

また、当時の政界にはぜひとも総理大臣になりたがる者が少なかったため、広田が総理大臣に就任した際、内閣は「火中の栗を拾った」とも評されました。広田内閣は、困難な状況の中で国家を治めようとした意義深い内閣として、歴史に記憶されています。

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