宇文莫槐

宇文莫槐（うぶん ばくかい、拼音：Yǔwén Mòhuaí、生年不詳 - 293年）は、鮮卑宇文部の大人であり、宇文普撥の兄にあたります。

生涯

宇文部は、宇文莫槐の時代から活動年代が明確になります。彼の治世下において、宇文部は遼東・遼西地方で段部と並び立つほどの勢力を持つようになりました。しかし、その一方で、同じ鮮卑の一派である慕容部の大人、慕容廆（ぼようかい）とはかねてより対立関係にありました。

太康10年（289年）頃には、宇文莫槐はしばしば慕容部の領地へ侵攻し、略奪を繰り返していました。これに対し、慕容廆は一旦身を低くし、宇文莫槐に対して手厚い贈り物をすることで、関係の融和を図ったと伝えられています。しかし、根本的な対立構造は解消されなかったようです。

元康3年（293年）、宇文莫槐は部族の民を虐げていたことが原因で、部下によって暗殺されました。その暴政が民衆の反発を招いた結果と言えるでしょう。彼の死後、弟である宇文普撥（うぶん ふはつ）が宇文部の大人位を継承しました。

宇文莫槐の短い生涯は、当時の鮮卑部族間の複雑な勢力争い、そして部族を治める者の資質が重要であることを示唆しています。彼の強硬な姿勢と、それがもたらした結末は、後世に教訓を残す出来事として記録されています。

参考文献

『魏書』（帝紀第一、列伝第九十一）
『北史』（列伝第八十六）
* 『資治通鑑』（巻八十一、巻八十二）

もう一度検索