宇治十帖

宇治十帖の概要

宇治十帖（うじじゅうじょう）は、『源氏物語』の中で特に注目される部分であり、第45帖「橋姫」から第54帖「夢浮橋」までの全10帖で構成されています。このセクションは主に宇治を舞台としており、他の部分とは異なった特徴を持つため、長い間独立した単元として考えられてきました。

宇治十帖の特異性

宇治十帖は、他の帖と比べて異なる設定やテーマを持っています。そのため、古い文献においてもこの部分だけを特別に扱う例が見られます。たとえば、『白造紙』や『紫明抄』、『花鳥余情』といった文献では、宇治十帖を「宇治一」や「宇治二」と個別に数えることがあり、正式な計数として認められています。また、正嘉本源氏物語系図や源氏一品経では、全54帖から37帖を取り除いた後、宇治十帖を「宇治」として1帖とカウントし、その結果として『源氏物語』全体を28帖とする別の見方も存在します。

別作者説

宇治十帖の作者については、紫式部の娘である大弐三位が執筆したとする説や、一条兼良の『花鳥余情』、一条冬良の『世諺問答』などの文献に基づいた見解もあります。1957年には安[[本美典]]による計量分析が行われ、宇治十帖の構成における出現頻度や文章の長さの違いから、紫式部が作者である可能性が低いとされました。このような分析により、宇治十帖は他の部分と明確な違いがあることが示されています。

一方で、宇治十帖が異なる作者によるものであることが明らかである一方で、源氏物語に強く影響を受けた他の作品との比較において、宇治十帖の独特性についての見解も少なくありません。したがって、別作者説には賛否が存在し、まだ完全に結論が出ていないのが現状です。

宇治十帖の各帖

宇治十帖は大きく二つの部分に分けることができ、最初の部分は「大君・中君物語」そして後半の部分は「浮舟物語」とされます。具体的な各帖は次の通りです：
1. 橋姫
2. 椎本
3. 総角
4. 早蕨
5. 宿木
6. 東屋
7. 浮舟
8. 蜻蛉
9. 手習
10. 夢浮橋（異名:法の師）

関連項目

「宇治十帖」をテーマにした現代の作品には、テレビドラマ『鵜飼いに恋した夏』などがあり、古典文学から現代に至るまでその影響力が感じられます。このように、宇治十帖は日本の文学史においても重要な位置を占めています。

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