宇都宮聖ヨハネ教会

宇都宮聖ヨハネ教会：歴史と建築美が織りなす聖地

栃木県宇都宮市に佇む宇都宮聖ヨハネ教会は、日本[[聖公会]]に属する由緒ある教会です。1933年、上林敬吉の設計によって建てられた教会堂は、地域を代表する石材である大谷石をふんだんに使用したゴシック様式の建築物。重厚でありながら柔らかな大谷石の風合いは、訪れる人々の心を穏やかに包み込みます。その独特の美しさから、地域住民だけでなく、広く人々に愛される存在となっています。

歴史の重み：伝道から現代まで

宇都宮聖ヨハネ教会の歴史は、1891年頃に司祭テオドシウス・ティングによる日本[[聖公会]]伝道活動にまで遡ります。1910年には現在の地に牧師館が設置され、翌年には教会として正式に認可。同時に、付属幼稚園（現・愛隣幼稚園）が開園し、地域社会への貢献を始めたのです。1912年には最初の礼拝堂が建設され、信仰の拠り所として人々を迎え入れました。

現在の教会堂は、1932年に建築認可申請が行われ、翌1933年に完成・献堂。旧礼拝堂は愛隣幼稚園の園舎として新たな役割を担いました。その後、1998年には国の登録有形文化財に登録。2003年には「うつのみや百景」にも選定され、2012年には宇都宮市の文化財にも指定されました。登録有形文化財としての登録は、市指定文化財となったことにより抹消されています。2013年には、景観賞を受賞するなど、その建築美と地域への貢献は高く評価されています。近年では、著名なミュージシャンによるコンサートが開催されたり、日本遺産「地下迷宮の秘密を探る旅～大谷石文化が息づくまち宇都宮～」の構成文化財に選定されたりと、その存在感はますます増しています。

建築の匠：大谷石とゴシック様式の融合

教会堂は、鉄筋コンクリート造の長方形の建物。上林敬吉による設計、坪谷熊平による施工という、当時の著名な建築家と職人たちの技が結集した作品です。上林敬吉は聖公会信徒である建築家で、数多くの聖公会礼拝堂を設計しましたが、大谷石を外壁に使用したのは宇都宮聖ヨハネ教会が唯一です。

外観は、ゴシック様式を思わせる控え壁（バットレス）が特徴的。切妻屋根に銅板瓦棒葺き、軒高約4.5mの堂々とした姿は、周辺の緑と調和し、静寂な住宅街に威厳を与えています。内部は、木造のシザーズトラス（鋏形トラス）が美しい空間を創出。大谷石の壁面に漆喰を塗り、床は板張り。華美な装飾を避け、木の質感が際立つシンプルな内装は、祈りの時間をより深く、静かに過ごせるよう配慮されています。ステンドグラスの窓も、信仰に直接関連するモチーフではなく、シンプルなデザインを採用しています。

教会堂には3階建ての鐘塔が付属し、隣接する愛隣幼稚園の園舎は旧礼拝堂を再利用したものです。

愛隣幼稚園：教会と共に歩む教育の場

1911年、教会の付属幼稚園として開園した愛隣幼稚園は、宇都宮市で最初の幼稚園として知られています。園舎は、歴史ある旧礼拝堂を使用。太平洋戦争中は一時休園、園舎は徴用されましたが、1947年に再開園。現在は学校法人聖公会北関東学園が運営しており、長い歴史の中で、多くの子供たちがここで学び育ってきました。親子三代にわたって通園する家庭もあるそうです。「隣人を自分のように愛しなさい」という新約聖書の言葉に由来する園名は、キリスト教精神に基づいた温かい教育を実践しています。少人数教育を特徴とし、アットホームな雰囲気の中で、子どもたちはのびのびと成長しています。

まとめ

宇都宮聖ヨハネ教会は、その歴史、建築美、そして地域への貢献を通して、人々に深い印象を与え続けています。大谷石の重厚な壁、ゴシック様式の美しいシルエット、そして静謐な空間は、訪れる人々に安らぎと感動を与えてくれるでしょう。歴史と信仰が息づくこの教会は、宇都宮の街の貴重な財産と言えるでしょう。

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