安倍氏主

安倍 氏主について

安倍 氏主（あべ の うじぬし）は平安時代初期の著名な貴族であり、正六位上の官位を持ち、安倍友上の子供として知られています。彼の官位は従五位下・三河守を経て、時代背景を反映しながら地方官として活躍しました。彼の経歴は、彼自身の官位だけでなく、家族や地域の歴史とも関連しており、多面的な興味を持たせる人物です。

経歴

氏主は淳和天皇の時代に、将来の仁明天皇である正良親王の春宮帯刀舎人をつとめました。この職務は特に重要な役割であり、皇太子を護衛し、身の回りの世話をするものでした。彼は承和11年（844年）に従五位下の官位に叙爵され、翌年には遠江守に任命されました。しかし、その後官職を持つ者としての責任を果たす中で、官使に罪を問われて解任されるという経験もしました。

三河守としての任務の際、彼は仁明天皇の40歳の誕生日を祝うために、白馬、牛、支子を朝廷に献上するなど、文化的にも貢献しました。文徳朝に入ると、仁寿3年（853年）再び三河守に任ぜられ、その後も天安元年（857年）に三度目の再任がなされるなど、彼は東海地方の地方官としての地位を確立していきました。天安2年（858年）6月15日に65歳で亡くなりましたが、その時の官位は再び三河守の従五位下でした。

人物像

安倍氏主は若いころから仁義を重んじる熱意を持っており、博徒たちとの交流でも知られています。騎射や武道においては非常に優れた能力を持っており、彼の身のこなしはまるで空を飛ぶかのように軽快だったと考えられています。特に、夜間に盗賊を追跡して負傷した際には、翌日にも再びその調査を行ったというエピソードは、彼の精神力と献身的な性格を示しています。

官歴

『六国史』に記載された彼の官歴を振り返ると、時期不詳で正六位上に始まり、承和11年（844年）に従五位下、承和12年（845年）には遠江守に任ぜられ、嘉祥2年（849年）には見三河守に名を連ねます。仁寿3年（853年）にも三河守に再任され、天安元年（857年）には三河守として再々任されました。最終的には天安2年（858年）に卒去し、その官職は三河守としてのものとなりました。

系譜

安倍氏主は安倍友上の子で、彼の血筋は貴族社会において一定の影響力を持っていました。子供たちの中には、男子の安倍三寅、安倍肱主といった名があり、さらに女子は藤原公利の室としての存在も伝えられています。このように、彼の家族は平安時代の貴族社会において重要な役割を果たしました。

参考文献

• - 森田悌『続日本後紀 （下）』講談社学術文庫、2010年
• - 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年

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