安国寺 (高山市)

安国寺（あんこくじ）

安国寺は、岐阜県高山市国府町にある臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を太平山と称し、本尊には釈迦牟尼仏（釈迦如来）を祀っています。また、飛騨三十三観音霊場の11番札所としても知られています。

歴史

安国寺は、足利尊氏・直義によって全国に建立された安国寺の一つで、貞和3年（1347年）に瑞巌和尚によって創建されました。最盛期には七堂伽藍と九つの塔頭を有する大寺院でしたが、戦国時代には高山を拠点とする上杉派の三木氏と、国分寺を拠点とする武田派の広瀬氏との抗争に巻き込まれ、二度にわたる兵火によって多くの堂宇が焼失しました。現在見られる本堂は、江戸時代初期の寛永元年（1624年）に飛騨高山藩第三代藩主である金森重頼によって再建されたものです。

文化財

安国寺には、国宝や重要文化財を含む貴重な文化財が数多く残されています。

国宝

安国寺経蔵：応永15年（1408年）に建てられた経蔵は、入母屋造、杮葺の禅宗様建築です。外観は柱間が3間であるように見えますが、内部は4本の独立柱が立ち、方一間の身舎の周囲に裳階をめぐらした構造になっています。禅宗様建築では組物を密に並べる例が多いですが、この経蔵は組物の数が少なく、垂木も平行垂木で疎らに配されているのが特徴です。内部には輪蔵（回転式の経蔵）があり、制作年代が明らかな輪蔵としては日本最古のものとして貴重です。明治42年（1909年）に旧古社寺保存法に基づく特別保護建造物に指定され、昭和38年（1963年）に文化財保護法に基づき国宝に指定されました。

重要文化財

塑造瑞巌和尚坐像（頭部木造）：開山堂に安置されている瑞巌和尚の坐像は、明徳3年（1392年）の作です。塑造は日本では奈良時代に盛んでしたが、中世では珍しい技法です。ただし、本像の頭部は木造となっています。この像は、昭和37年に重要文化財に指定されました。

附:木造須弥壇
附:像内納入経（紙本墨書華厳経賢行願品、紙本墨書金剛経、紙本墨書法華経普門品および般若心経）

熊野神社本殿：安国寺の裏手にある熊野神社は、室町時代末期に瑞巌和尚が勧請し創建されたと伝えられています。本殿は三間社流見棚造りで、屋根は杮葺き。この形式は、この種の建物としては特異なもので、飛騨の神社建築のルーツを知る上で貴重です。昭和54年に重要文化財に指定されました。

岐阜県指定重要文化財

木造本尊釈迦牟尼仏 脇侍文殊普賢両菩薩像：延文2年（1356年）に作られた仏像です。
一切経並春日版大般若経

その他

蛻庵稲荷：境内には、『安国寺のきつね小僧』という伝説・昔話にまつわる蛻庵稲荷が祀られています。

所在地

岐阜県高山市国府町西門前474

交通

高山本線 飛騨国府駅より約5km
中部縦貫自動車道 高山ICより道程約14km

参考文献

国府町史/通史編Ⅰ、考古・指定文化財編 他
『週刊朝日百科』「日本の国宝 83」、朝日新聞社、1998

脚注

関連項目

国宝一覧
日本の寺院一覧
安国寺利生塔

外部リンク

岐阜県：歴史・観光・見所/高山市：安国寺
Hit net TV!/【動画】安国寺経蔵
中京テレビ　朗読シアター/【動画】安国寺のきつね小僧
* 安国寺のきつね小僧（蛻庵稲荷にまつわる昔語り）

もう一度検索