安澤秀一

安澤秀一

安澤秀一（やすざわ しゅういち、1926年12月2日 - ）は、日本の文化情報学者であり、アーカイブズ学の分野における先駆者として知られています。国文学研究資料館・史料館および駿河台大学の名誉教授を歴任し、文化情報学の発展に尽力しました。

生い立ちと学歴

安澤秀一は、1926年に東京市芝区（現在の港区）で生まれました。父親は元調布町長である安沢秀雄です。慶應義塾大学に進学し、法学部から経済学部大学院（旧制）へと進みましたが、1956年に退学しました。その後、研究の道を歩み始めます。

研究者としての経歴

1962年、安澤秀一は桃山学院大学の助教授として教鞭を執り始め、後に教授に昇格しました。1978年には、国立国文学研究資料館・史料館の教授（アーカイブズ系）に就任し、アーカイブズ学の研究と教育に携わりました。1990年には明海大学教授となり、1994年には駿河台大学に新設された文化情報学部の学部長に就任し、新たな学部の発展に貢献しました。1999年には同大学院教授・文化情報学研究科長となり、後進の育成に努め、2002年に退任しました。退任後も、国立国文学研究資料館・史料館および駿河台大学の名誉教授として、その功績を称えられています。

学術的貢献

安澤秀一は、史料館・文書館学の草分けとして、日本のアーカイブズ学の基礎を築きました。その研究は、近世村落の形成や松江藩に関する史料の研究など、多岐にわたります。また、アート・ドキュメンテーション研究会会長（現アート・ドキュメンテーション学会）やICAアーキビスト研修委員会・企業アーカイブズ委員会委員を歴任し、国際的な活動も積極的に行いました。

1971年には、慶應義塾大学から経済学博士号を授与されています。博士論文は『近世村落形成の基礎構造』であり、その研究成果は高く評価されています。

著書

『近世村落形成の基礎構造』（吉川弘文館, 1972年）
『史料館・文書館学への道』（吉川弘文館, 1985年）
『出雲松江藩「出入捷覧」データベース化のための基礎作業』（明海大学経済学会 1991年）

共編著

『松江藩・出入捷覧』（編著　原書房, 1999年）
『文化情報学』（原田三郎共編著　北樹出版 2002年）

翻訳

エスター・ボズラップ『農業成長の諸条件』（安沢みね共訳　ミネルヴァ書房 1975年）
イーヴァン・モーズリー,トーマス・ムンク『コンピュータで歴史を読む』訳者代表　有斐閣 1997年）
E.Orna,Ch.Pettitt編『博物館情報学入門』（監修　水嶋英治編訳　勉誠出版 2003年）
* 国際アーカイブズ評議会建築記録部会編『建築記録アーカイブズ管理入門』（書肆ノワール 2006年）

安澤秀一は、日本の文化情報学、アーカイブズ学の発展に大きく貢献した人物として、その名が記憶されるでしょう。

もう一度検索