安藤まり子

安藤まり子（1929年2月2日 - ）は、日本の音楽シーンにおいて、戦後から現代にかけて活動を続けるベテラン歌手です。北海道北見市に生を受け、幼い頃から音楽への情熱を育みました。現在はミュージックオフィス合田に所属しています。

初期キャリアと成功

1945年、第二次世界大戦の終結という歴史的な年に上京。音楽の専門的な学びを深めるため、武蔵野音楽学校（現在の武蔵野音楽大学）で研鑽を積みました。学業を終えると同時に日本コロムビアと専属契約を結び、歌手としての道を歩み始めます。1949年には、当時の人気歌手であった藤山一郎との共唱による『花の素顔』でデビュー。この楽曲は同名の松竹映画の主題歌として注目され、安藤まり子の名前を世に知らしめるきっかけとなりました。

そのキャリアにおいて最大のヒットとなったのは、1953年に発表された『毬藻の唄』です。この曲は、前年にコロムビアが一般から歌詞を募集した歌謡コンクールの入選作にメロディーをつけたもので、北海道の阿寒湖を題材にした素朴で美しい旋律が多くの人々の心をとらえ、爆発的なヒットを記録しました。

一度の引退と異分野での活動

『毬藻の唄』で人気絶頂にあった1953年、安藤まり子は歌手の若山彰と結婚することを機に、惜しまれながらも一度歌手活動から身を引くことを選択します。この結婚は後に解消されますが、彼女は音楽の世界から離れた期間、江戸千家茶道の師範として活動し、生活の糧を得ていました。この経験は、彼女のその後の人生に深みを与えたと言えるでしょう。

歌謡界への復帰とコロムビア五人会

長いブランクを経て、安藤まり子は1982年に再び歌謡界の舞台に戻ってきます。復帰のきっかけとなったのは、二葉あき子、並木路子、池真理子、胡美芳といった、かつて共に日本の歌謡界を彩った歌手仲間からの熱心な誘いでした。「またみんなで一緒に歌おう」という呼びかけに、当初は冗談かと思ったと本人は語っていますが、その熱意に応え、彼女たちは「コロムビア五人会」を結成。歌謡界への本格的な復帰を記念し、五人会結成コンサート「あなたのために唄います」を開催し、往年のファンを喜ばせました。

復帰後の精力的な活動

五人会としての活動に加え、安藤まり子自身もソロ活動を再開。1986年には自身のリサイタルを開催し、健在ぶりを示しました。翌1987年末には東京プリンスホテルでディナーショーを行うなど、積極的にファンの前で歌声を披露します。特に印象的だったのは、1988年秋に故郷である北海道北見市で開催された初めてのリサイタルです。これは、故郷への凱旋公演として、地元の人々に温かく迎えられました。

五人会の灯を守る唯一の現役として

コロムビア五人会のメンバーは、2000年代に入ると次々と他界しました。2000年に池真理子、2001年に並木路子、2009年に胡美芳、そして2011年に二葉あき子と、彼女たちを見送る辛さを経験することになります。現在、安藤まり子は五人会の中で唯一、現役の歌手として活動を続けており、その衰えぬ歌唱力と情熱で、多くの人々を魅了し続けています。

人物像

その魅力について、親交が深かった二葉あき子は、「美人で音楽学校仕込みの確かな歌唱力に美しいアルト声」と、歌手として恵まれた三拍子を兼ね備えた稀有な存在であったと評しています。二葉曰く、安藤まり子にはアイドル的な人気があり、親しみを込めて彼女を「かぐや姫」と呼んでいたそうです。その歌声と佇まいは、今なお多くの音楽ファンに愛されています。

代表曲

花の素顔（共唱：藤山一郎）
毬藻の唄
カチューシャの唄

主な出演歴

テレビ番組
NHK歌謡コンサート（NHK総合、複数回出演）
思い出のメロディー（NHK総合、第44回、第47回）
木曜8時のコンサート〜名曲!にっぽんの歌〜（テレビ東京、複数回出演）
年忘れにっぽんの歌（テレビ東京、第45回）
イベント・コンサート
一般社団法人日本歌手協会歌謡祭（複数回出演）
合田道人のこのひと、歌暦（第6回）
日本歌手協会有志奉納特別公演（靖国神社みたままつり）

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