安達幸之助

安達幸之助：幕末の加賀藩士、兵法家、教師

安達幸之助（1824年 - 1869年）は、幕末の動乱期に加賀藩に仕えた藩士であり、同時に兵法家、教育者としてもその名を残しました。彼は西洋兵学を深く理解し、その知識を藩の発展に役立てようと尽力しました。

生い立ちと蘭学との出会い

文政7年（1824年）に加賀藩士の次男として生まれた幸之助は、幼名を寛栗といいました。後に足軽の安達家の養子となり、安達家を継ぐことになります。安政2年（1855年）には江戸藩邸に勤務し、そこで蘭学を村田蔵六（後の大村益次郎）に、漢学を井口嘉一郎に師事します。この時の出会いが、彼の人生を大きく左右することになります。翌年には足軽小頭として活躍し始めました。

西洋兵学の導入と教育への貢献

万延元年（1860年）には、幕府の講武所で西洋兵学を教えるほどの知識を身につけました。帰藩後は、藩の教育機関である壮猶館の教授として、大砲鋳造などの技術指導にも携わりました。さらに京都では、師である益次郎に用いられ、軍務官二等教授として活躍。伏見兵学校では、兵学や英学を教えるなど、後進の育成に力を注ぎました。

悲劇的な最期

明治2年（1869年）、京都で益次郎、静間彦太郎と会食中に、元長州藩士らの刺客に襲撃されます。益次郎が捕らえられそうになった際、幸之助は身を挺して彼を庇い、その場で命を落としました。享年46歳。彼の死は、多くの人々に衝撃を与えました。死後、その功績を称えられ正五位が贈られています。

その後の足跡

幸之助の墓は、金沢市の野田山と京都霊山護国神社にあります。また、安達家の墓は静明寺にあり、そこには勝海舟が撰文した賛辞が刻まれた碑が建てられています。妻の安達安子との間には、二男三女をもうけました。長男の松太郎は陸軍士官学校の教官となり、次男の杉次郎は夭折。娘たちはそれぞれ、陸軍や海軍の要人と結婚し、彼の血筋は後世に引き継がれています。

人となりと逸話

幸之助は、非常に勇敢で忠義心の厚い人物だったと言われています。特に、師である益次郎を庇って命を落としたという逸話は、彼の高潔な人柄を物語っています。明治元年（1868年）のテロ事件では、益次郎を庇い、自ら名乗り出て戦ったという説もあります。

登場作品

NHK大河ドラマ「花神」（1977年）では、山本紀彦が安達幸之助を演じました。

脚注

* 安達幸之助肖像 - 国立国会図書館デジタルコレクション


安達幸之助は、激動の幕末を駆け抜けた、知勇兼備の人物でした。彼の残した功績と、その壮絶な生き様は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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