安里安恒

安里安恒の生涯と功績

安里安恒（あさと あんこう、1827年 - 1903年または1828年 - 1906年）は、琉球王国時代から明治にかけて活躍した沖縄の著名な唐手（現在の空手）家として知られています。彼は首里手の大家の一人として、空手の発展に多大な貢献をしました。

幼少期と家系

安里安恒は、1827年に琉球王国の首都である首里に生まれました。彼の号は麟角斎で、称号は親雲上（ペークミー）という上級士族の地位を持っていました。安里家は毛氏安里家の直系の家系で、尚清王の三司官を務めた池城親方安基にその源を持つことが知られています。安里家は、首里と那覇の間に位置する真和志間切安里村（現在の那覇市安里）を治める脇地頭で、御殿に次ぐ名家でした。

唐手との出会い

安里は18歳の時、唐手の大家である松村宗棍のもとに弟子入りしました。松村宗棍は首里手の宗家として多くの弟子を持っており、その後の空手界にも大きな影響を与えた存在です。安里の流派にも多くの名士が集まっていましたが、特に弟子には後の政治家である牧志朝忠がいました。安里が習得した技術は軽快かつ迅速で、彼の言葉「人の手足は剣と思え」は、武道に対する深い理解を示しています。

明治時代の活躍

琉球王国時代において、安里は尚泰王に仕えて近習方として働きました。そして、明治十二年に廃藩置県が行われた後は、尚泰侯の国務大臣として麹町の尚家に十三年間仕えました。具体的にどのような職務を果たしていたかは定かではありませんが、通常は侯爵の秘書や補佐の役割を担っていたと考えられています。1892年に沖縄に帰郷した後も、安里は武道の普及と発展に寄与しました。

また、東京での生活の間に、安里は西洋式の馬術を目賀田雅周から学び、弓術については関口某に師事しました。さらに剣術においても、沖縄時代に示現流の伊集院某から学ぶなど、多くの武道に親しんでいました。安里には唯一の弟子、船越義珍がいました。

最後の年

安里安恒は1903年（もしくは1906年）に生涯を閉じました。その活動の後、彼の教えは弟子によって引き継がれ、沖縄の空手はさらに発展していきました。彼の生涯は、沖縄の武道史において重要な位置を占めており、今なお多くの人々にその影響を与え続けています。

参考文献

• - 船越義珍『空手道一路』榕樹書林
• - 儀間真謹、藤原稜三『対談・近代空手道の歴史を語る』ベースボール・マガジン社
• - 富名腰義珍「恩師安里安恒先生の逸話」。『拳』第八号（慶應義塾体育会空手部機関誌 昭和9年）所載の論考。

もう一度検索