安養寺 (郡上市)

安養寺の概要と歴史

安養寺（あんにょうじ）は、岐阜県郡上市八幡町柳町に所在する浄土真宗大谷派の寺院で、山号は遠郷山とされる。郡上における真宗大谷派の中心的な寺院であり、地域の信仰のシンボルとして長い歴史を持つ。特に、寺の本堂は間口と奥行きが共に16間（約29メートル）もあり、岐阜県下で最大の大きさを誇る。

歴史的背景

安養寺の創建は、佐々木高綱の三男・高重が出家し、西信と名乗ったことに始まる。最初は近江国蒲生郡に「安要寺」として設立されたが、その後6世仲淳の時代に美濃国安八郡に移転し、さらに蓮如によって「安養寺」と改名された。

安養寺は歴史の中で何度も場所を移している。越前国穴馬（現在の福井県大野市）や美濃国大島村野里（郡上市白鳥町）への移転はその一例である。戦国時代には、朝倉氏の郡上侵攻に対抗し、寺を守るために参加し、10世乗了の時には石山合戦にも関与している。この際、足利氏や武田氏、朝倉氏、本願寺との間で交わされた文書が現在も残っており、岐阜県指定の有形文化財に指定されています。さらにその時期に一時的に白川（現在の岐阜県白川村）に移ったことで、当時の郡上領主であった遠藤慶隆との関連についての見解も存在している。

1588年（天正16年）、稲葉貞通が郡上の領主となった際には八幡中坪村園野に移転が行われた。1661年（寛文6年）に院家となり、1838年（天保8年）には御坊分になるなど、寺院の地位は着実に確立されていった。

近代においては、明治時代に本堂が焼失し、1881年（明治14年）に八幡城の三の丸跡地に新たに移転した後、1890年（明治23年）に本堂が再建された。しかし、1919年（大正8年）の郡上大火で再び焼失する運命に見舞われたが、1936年（昭和11年）に再度再建され、現在の姿を保っている。

文化財の宝庫

安養寺は、岐阜県指定の重要文化財も数多く所蔵している。特に、絹本著色阿弥陀如来像や絹本著色親鸞聖人御影、さらに絹本著色十五尊像などが含まれている。また、蓮如上人名号の墨書文書や石山合戦関係の文書も保存され、岐阜県内での貴重な文化的資源となっている。さらに、金森内室化粧道具といった岐阜県指定の重要有形民俗文化財も所蔵しており、安養寺宝物殿にて一般公開されている。

催し物と地域との関わり

安養寺は地域の文化活動の場としても利用されており、かつては落語のイベント「郡上八幡大寄席」が開催されていた。現在では、郡上八幡上方落語の会や郡上踊り、むかし踊りの夕べなど、様々な催し物が行われている。これにより、地域住民との交流や信仰の深まりが図られている。

安養寺は、ただの宗教施設にとどまらず、地元文化を支える重要な役割を果たし続けている。

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