宋隠

宋隠（そう いん、生没年不詳）は、後燕から北魏にかけての政治家であり、字は処黙と称しました。彼の家系は代々高位にあり、本貫は西河郡介休県です。曾祖父は慕容廆の長史を務めた宋奭、祖父は前燕の中書監であった宋晃、父は前燕の尚書・徐州刺史であった宋恭という名門でした。叔父には、後燕の衛将軍司馬であった宋畿や、後燕の尚書であった宋洽がいました。

宋隠は、後燕の慕容垂に仕え、尚書郎、太子中舎人、州別駕といった要職を歴任しました。彼の才能は高く評価され、順調にキャリアを重ねていきました。しかし、後燕が衰退し、北魏の道武帝が中山を平定すると、宋隠の人生は新たな局面を迎えます。彼は北魏に仕えることとなり、尚書吏部郎に任ぜられました。

道武帝が北に帰還する際、宋隠は本官のまま衛王拓跋儀が中山に駐屯するのを補佐する役割を担いました。その後、行台右丞に転じ、北魏の政治体制の中で重要な役割を果たしました。しかし、彼はたびたび老いと病いを理由に引退を願い出ました。道武帝は彼の才能を惜しみ、なかなか許しませんでした。母が死去した際には、服喪を理由に故郷へ帰ることを許されました。

母を葬った後、宋隠は再び召喚を受けましたが、病を理由に固辞しました。しかし、州郡からの出仕の要請は執拗に続きました。これに耐えかねた宋隠は、最終的に妻子を捨てて逃亡するという決断をします。彼は数年後に亡くなりましたが、その波乱に満ちた生涯は多くの人々に語り継がれています。

宋隠には五人の息子がいました。長男は宋経、三男は中書博士を務めた宋温、そして宋演は明威将軍・済北郡太守となりました。彼らの子孫もまた、それぞれの時代で活躍し、その名を歴史に刻んでいます。

宋隠の伝記は、『魏書』巻33 列伝第21と『北史』巻26 列伝第14に収録されており、彼の生涯や業績について詳しく知ることができます。これらの史料は、彼の人生を理解する上で貴重な情報源となっています。

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