完顔氏

完顔氏（ワンギャンし）とは

完顔氏は、かつて中国を支配した金王朝の国姓であり、女真族完顔部の首長家系に由来します。漢風の姓としては王氏を用いました。

概要

その始祖は函普とされ、12世紀初頭、その末裔である完顔阿骨打が遼からの独立を宣言し、1115年に金朝を建国しました。

金の第3代皇帝熙宗の時代には、その暴政から反乱が頻発し、従弟の海陵王によって殺害されるという事態が発生。その後、海陵王も政争によって部下に殺害され、完顔氏は混迷の時代を迎えます。

しかし、海陵王の従弟である世宗が即位すると、それまでの悪政を刷新。財政改革や人事刷新などの善政に努め、金朝は再び安定を取り戻しました。

世宗の七男である衛紹王の時代になると、モンゴル帝国の勢力拡大により、金朝は滅亡の危機に瀕します。衛紹王はモンゴルの服属勧告を拒否し、これを滅ぼそうとしましたが、かえって国を窮地に陥れ、帝位を剥奪されました。

衛紹王の甥である宣宗が即位しましたが、都の中都（現在の北京）を包囲され、宗室の宰相である完顔福興の進言により、哈敦公主をチンギス・カンの后に差し出しました。これにより一時的な和睦が成立しましたが、モンゴル帝国の攻勢は止まらず、西夏との同盟も失敗。宣宗は失意のうちに崩御しました。

その子の哀宗の時代には、一門の完顔陳和尚を大将とする迎撃軍がモンゴル軍を一時的に退けるものの、チンギス・カンの末子トルイの仇を討つべく、オゴデイ・カアンが攻勢を強め、金軍は敗北。哀宗は一族の末帝に位を譲りますが、末帝もモンゴル軍に捕らえられ、完顔氏は一族滅亡という結末を迎えました。

清の官僚である崇実は、満州八旗に属し、滅亡した完顔氏一族の末裔であるとされています。

2020年の中華人民共和国の統計によると、完顔氏は11番目に多い複姓であり、約6千人が存在します。また、日本に帰化した中国人画家の王昭（日本名：長白昭）の父である完顔愛蘭は、金の世宗の27代目の末裔にあたります。

遺伝子検査の結果によると、完顔氏の末裔は河南省鹿邑县完颜氏に多く、ハプログループはo1b2a1a1-mf303032であるとされています。

関連項目

女真
金 (王朝)
* 完顔阿骨打

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