宍塚

宍塚（ししつか）は、茨城県土浦市に位置する地域であり、市の中央部に広がる一中地区の一部を構成しています。土浦市の市街地から見て西側に広がり、隣接するつくば市との市境にも面しています。

地理と自然

この地域は、都市部に近接しながらも、昔ながらの豊かな自然環境が残る「都市近郊型里山」として知られています。緑豊かな山林や水田、ため池（特に宍塚大池）などが広がり、多様な動植物が生息する貴重な生態系を形成しています。かつては開発の計画も持ち上がった時期がありましたが、筑波大学をはじめとする各大学や国の研究機関による学術的な調査研究、そして特定非営利活動法人「宍塚の自然と歴史の会」を中心とした地元住民や関係者による長年にわたる精力的な保全・啓発活動が行われてきました。これらの活動により、宍塚の自然環境や文化的景観の価値が再認識され、その保全の重要性が広く認識されるようになっています。行政区画としては、2014年現在、「大字（おおあざ）」としての名称は使われておらず、地域の一部が「宍塚町」として行政区の名称に採用されています。

歴史

宍塚という地名は、江戸時代には既に記録が見られ、常陸国信太郡に属する村として存在していました。この時期には「完塚」と表記されることもあったようです。戦国時代には、この地は結城氏の勢力範囲にありました。江戸時代に入り、慶長6年（1601年）からは常陸土浦藩の所領となります。その後、元和3年（1617年）に一時的に幕府の直轄領（幕府領）となりましたが、翌元和4年（1618年）には再び土浦藩の支配地に戻り、幕末まで土浦藩領として続きました。

近現代の沿革

明治維新後の町村制施行に伴い、宍塚村は周辺の村々と合併し、行政区域が再編されていきました。
1889年（明治22年）4月1日：町村制が施行され、信太郡宍塚村は佐野子村、飯田村、矢作村、下高津村、中高津村、上高津村、小松村、および新治郡粕毛村と合併し、信太郡中家村が発足しました。この際、宍塚村は中家村を構成する大字の一つ、「大字宍塚」となりました。
1896年（明治29年）3月29日：郡の再編により、中家村の所属郡が信太郡から新治郡に変更されました。
1937年（昭和12年）4月1日：新治郡中家村が同じく新治郡に属する土浦町に編入合併されました。これにより、中家村大字宍塚は土浦町大字宍塚となります。
1940年（昭和15年）11月3日：土浦町が真鍋町と合併し、市制を施行して土浦市が誕生しました。このとき、土浦町大字宍塚は土浦市大字宍塚となりました。
* 2006年（平成18年）2月20日：新治村が土浦市に編入合併された際、住所表記の見直しが行われ、「大字」の文字が削除されました。これ以降、「土浦市大字宍塚」は「土浦市宍塚」と表記されるようになりました。

竜巻の襲来

2009年（平成21年）10月8日の早朝5時頃、日本列島に接近していた台風18号に連動する形で、宍塚地域を強い竜巻が襲いました。この自然災害により、地域は甚大な被害を受けました。人的被害として2名が負傷し、住宅被害は114棟に及びました。竜巻の威力は非常に強く、土浦宍塚郵便局の屋根が吹き飛ばされたり、地域の電柱や信号機が折れたりするなど、インフラにも大きな損傷が発生しました。

交通と施設

地域内には、主要な道路として茨城県道24号土浦境線が通っています。公共交通機関としては、関東鉄道バスの「宍塚停留所」が利用可能です。
主要な施設としては、土浦宍塚郵便局があります。また、土浦労働総合庁舎（土浦労働基準監督署、ハローワーク土浦を収容）が2019年1月にこの地域へ移転しました。かつては土浦市立宍塚小学校がありましたが、少子化などの影響を受け、2014年3月をもって閉校となり、学区は土浦市立土浦小学校に統合されています。

この地域は、上記以外にも、豊かな自然環境を象徴する宍塚大池などが関連項目として挙げられます。

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