宗像徹

宗像徹：平地と障害の舞台を駆け抜けた騎手人生

宗像徹氏は、1974年、福島県田村郡（現・田村市）で生まれました。障害専門騎手として名を馳せた三浦堅治氏とは遠戚にあたります。彼の騎手人生は、思わぬ出会いをきっかけに始まりました。中学3年生の頃、祖母の通夜に参列した宗像氏は、偶然にも三浦堅治氏の父と出会います。三浦氏の父は当初、息子に騎手を勧めようとしていましたが、既に高校に通い就職も決まっていた息子に代わって、隣にいた宗像氏に「ジョッキーっていう職業があるよ」と勧めたのです。

それまで競馬を全く知らなかった宗像氏でしたが、この出会いが彼の将来を大きく変えることになります。真剣な勧誘を受け、テレビで競馬を見るようになり、最初に目にしたレースは第9回ジャパンカップでした。競馬学校受験の時期を逃したため、卒業後は1年間高校に通学。中学時代は特にやりたいことがなく、ラジオの分解などをして機械系の仕事に漠然とした興味を持っていました。運動神経は得意ではなく、足も速くなく球技も平凡でした。乗馬経験もほとんどなく、中学生の頃に牧場で馬に乗った程度でした。

競馬学校受験では両親と共に2次試験の面接に臨みました。面接官は10名ほどで、非常に緊張したそうです。両親は彼の騎手への道を特に賛成も反対もせず見守っていました。2次試験の結果発表は学校で迎え、地元の新聞記者が取材に来たことで合格を知り、校長室に呼び出されたというエピソードも残っています。

1993年、競馬学校騎手課程第9期生として卒業。美浦・笹倉武久厩舎所属騎手としてデビューを果たします。同期には伊藤直人氏、飯田祐史氏、小林徹弥氏、そして後に競馬学校出身者で初の学士騎手となった川合達彦氏らがいました。

デビューイヤーとなる1993年には、平地と障害の両方で勝利を収め、重賞レースにも騎乗。新潟記念など、2011年までに12レースの平地重賞レースに騎乗し、その中には所属厩舎の代表馬であったツインターボへの騎乗（2レース）も含まれています。平地重賞での最高着順は、2001年のクリスタルカップ4着でした。

減量騎手から外れた後も平地での騎乗を続けましたが、1994年の325レースをピークに騎乗機会は減少。騎乗数を確保するため、1999年にはデビュー以来乗っていなかった障害競走に再び挑戦します。その後も平地での騎乗は続けましたが、2003年から2004年にかけて障害競走でOP特別や重賞を勝利するなど、障害競走での成績が平地を上回るようになり、騎乗の場は徐々に障害へと移行していきました。

2010年2月1日には結婚式を挙げましたが、その直後の2月6日、東京競馬場第8競走の春麗ジャンプステークスで落馬。右肩脱臼骨折と右大腿骨骨折という重傷を負いました。懸命なリハビリを経て、同年9月5日にレースに復帰します。

2011年10月31日、騎手を引退。堀宣行厩舎の調教助手として第二の人生を歩み始めました。騎手時代の通算成績はJRAのみで2580戦105勝でした。

主な騎乗馬には、マイネルオーパー（2003年福島ジャンプステークス、2004年春麗ジャンプステークス、秋陽ジャンプステークス、中山大障害3着）、デモリションマン（2004年新潟ジャンプステークス）などが挙げられます。宗像氏の騎手人生は、偶然の出会いをきっかけに始まり、平地と障害という異なる舞台で活躍し、数々のレースを経験しました。そして、大きな怪我を乗り越え、調教助手として新たな挑戦を続ける彼の物語は、多くの人々に感動と勇気を与え続けています。彼の経験と技術は、今後の競馬界においても大きな役割を果たすことでしょう。

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