宗前清

宗前 清

宗前 清（そうまえ きよし）は、1897年（明治30年）7月10日にこの世に生を受け、1973年（昭和48年）12月2日に逝去した日本の政治家であり、弁護士としての一面も持ちました。

生涯

宗前は鹿児島県大島郡知名村（現在の知名町）の出身です。若き日は教育者を目指し、1918年に鹿児島県立師範学校を卒業した後、小学校で訓導を務め、さらに高等女学校では教諭として教壇に立ちました。

教育の現場を離れた後、法曹界へ進むことを志し、明治大学専門部法律科に入学。1924年に同校を卒業しました。その2年後の1926年には、高等試験の行政科と司法科の両方に合格するという優れた成績を収め、内務省に入省しました。

内務省では、警察官僚としてキャリアを積み重ねました。警視庁では巡査から警視へと昇進し、芝高輪警察署長や警視庁消防課長といった要職を歴任。また、地方事務官としても活躍し、福岡県警防課長、和歌山県では振興課長と人事課長を兼任し、さらに同県の知事官房主事を務めるなど、多岐にわたる行政実務に携わりました。

官僚としての経験を積んだ後、宗前は政治の世界に足を踏み入れます。1942年に行われた第21回衆議院議員総選挙、いわゆる「翼賛選挙」において、彼は当時の鹿児島3区から出馬しました。この選挙では翼賛政治体制協議会の推薦を受け、見事当選を果たし、衆議院議員として初めての議席を獲得しました。

しかし、第二次世界大戦の終結に伴い、戦時中に推薦を受けて当選した議員であったため、宗前は公職追放の対象となりました。政治活動が制限される中、米軍の統治下にあった東京で弁護士として新たな道を歩み始めます。この時期、彼は故郷である奄美諸島の日本本土への復帰を目指す運動に深く関与し、その実現に向けて尽力しました。奄美復帰運動における宗前の活動は、地域社会に大きな影響を与えました。

公職追放が解除された後、宗前は再び政治の舞台への復帰を目指します。1952年の第25回衆議院議員総選挙では、東京1区から立候補しましたが、残念ながら当選には至りませんでした。

その2年後の1954年、奄美諸島の日本復帰に伴って設置された奄美群島選挙区で、衆議院議員の補欠選挙が行われることになりました。宗前は自由党の公認候補として、この選挙に立候補することを決めました。同じ自由党からは、後に衆議院議員となる保岡興治の父である保岡武久も立候補しており、党内での競合となりました。

この補欠選挙の最初の投票では、宗前は18,741票を獲得し、候補者の中で最も多い票を得ましたが、法律で定められた当選に必要な得票数（法定得票数）に達しなかったため、再選挙が実施されることになりました。

再選挙では、宗前は前回の得票をさらに上回る20,176票を獲得しました。しかし、最初の投票で3位だった保岡武久が票を大きく伸ばし、結果として宗前は3位に留まり、惜しくも当選を果たすことはできませんでした。この二度にわたる激しい選挙戦は、宗前の政治家としての最後の大きな挑戦となりました。

宗前清は、その後も郷里や社会への貢献を続けたと推測されますが、公的な活動に関する詳細は明らかではありません。1973年12月2日、76年の生涯を閉じました。教育者、行政官、政治家、そして弁護士として、激動の時代を生き抜いた人物でした。

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