宗箇山

宗箇山（そうこやま）

広島県広島市西区と安佐南区の境にある宗箇山は、標高356メートルの山であり、地元では「三滝山」という愛称が親しまれています。この呼称は、山の中腹に存在するかつての滝に由来しています。しかし、現在ではほとんど水が涸れている状態で、滝の痕跡を確認するには看板を見ることが必要です。

名称の由来と歴史

宗箇山の名称は、戦国時代の武将であり茶人の上田宗箇に由来しています。彼がこの山に松を植えたことから「植松山」とも呼ばれています。宗箇は、広島城本丸や縮景園に位置する茶屋「和風堂」から望む借景としてこの山を選んで、大きな赤松を植樹しました。その松は後に「宗箇松」と名付けられ、山ごとに「宗箇山」と称されるようになりました。

残念ながら、宗箇が植えた松の初代は落雷により焼失し、2代目は軍部による伐採、3代目は戦後に松くい虫の被害で枯れてしまいました。現在の宗箇松は1998年に植樹された4代目です。

上田宗箇は、丹羽長秀や豊臣秀吉の配下として戦国時代に活躍し、茶道においても著名な存在でした。彼は千利休の門下を経て、後に古田織部の弟子となり、「上田宗箇流」という流派を創始しました。広島藩に仕官して以降、上田家は武家茶道の発展に寄与し、宗箇が手掛けた縮景園は今も美しい景観を保っています。

自然とレクリエーション

宗箇山はその美しい自然に加え、登山者にとっても人気のスポットです。山頂からは広島市街を一望でき、多くの都市近郊ハイカーに親しまれています。特に元旦には、多くの人々が初日の出を望むために訪れ、賑わいを見せます。また、広島市の小学校にとっては、低学年の遠足の定番コースであり、林間学校などでも広く利用されています。

登山口には真言宗の古刹である三瀧寺があります。この寺院は、春には桜、秋には紅葉の名所として知られ、特に撮影スポットとして人気があります。また、宗箇山の近くには「広島市三滝少年自然の家」という施設もあり、自然体験活動が行われています。

戦争の歴史と影響

1945年8月6日、広島に原爆が投下された際、宗箇山の東麓に位置する三滝本町地区は、思いがけず熱線や爆風の影響が少なく、そのために陸軍の救護活動の拠点として利用されました。この時、多くの負傷者がここに運ばれたとされています。

命を落とした方々の骨が谷を埋めるほどあったと語られており、この山は今も地域の歴史の一部を物語っています。

アクセス

宗箇山へのアクセスは、広島バス「三滝観音」下車またはJR三滝駅からも簡単に行くことができます。自然と歴史、さらに癒しの場としての風景が交錯するこの場所で、訪れる人々は様々な体験を楽しむことができるでしょう。

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