宗谷 (防護巡洋艦)

防護巡洋艦「宗谷」の概要

「宗谷」（そうや）は、大日本帝国海軍において防護巡洋艦として活躍した艦船です。この艦名は宗谷海峡に由来しています。公式には二等巡洋艦として分類されており、そのルーツはロシア帝国の「ヴァリャーグ」にさかのぼります。

「ヴァリャーグ」の経歴

「ヴァリャーグ」は、アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィアのウィリアム・クランプ・アンド・サンズ社で建造されたロシア帝国海軍の1等防護巡洋艦です。1904年には朝鮮半島に展開しており、仁川沖海戦において厳しい戦況を迎えました。戦闘において、不利な状況にもかかわらず、艦の乗員はブルシチ川に艦を沈める際まで奮闘しました。その結果、「ヴァリャーグ」は仁川湾内に放棄され、大破した状態で終戦を迎えることとなりました。

日本は1905年8月にこの艦を浮揚し、「宗谷」という新しい艦名を与えました。この艦名は、当時天皇へも提案された他の候補名、「博多」「長谷」「不破」と並ぶものでした。同年の8月27日には正式に二等巡洋艦に類別され、その後は佐世保港に移送され、11月から横須賀工廠での修復が始まりました。1907年には整備が完了し、同年11月に就役を果たしました。

練習艦としての活躍

「宗谷」は主に練習艦としての役割を果たしました。アメリカ式の艦体形状を持っていたため、日本海軍では珍しい存在でしたが、同型艦が存在しなかったため、運用上の課題も抱えていました。1909年の3月から8月にかけて、少尉候補生のための遠洋航海訓練の一環としてハワイ島と北アメリカへ遠征し、同じく元ロシア艦である一等巡洋艦「阿蘇」とともに練習艦隊を編成しました。このような訓練航海は1913年まで毎年行われ、太平洋戦争を迎える指揮官たちにとって貴重な経験となりました。

戦後の運命

第一次世界大戦に突入すると、日本は連合国の一員としてロシアを支援するため、日露戦争中に接収した艦船のいくつかをロシアに譲渡しました。その中には「宗谷」も含まれ、1916年4月4日にロシアに買い戻され、日本海軍から除籍されました。翌日にはウラジオストクで再度ロシア帝国海軍へ編入され、その艦名は元の「ヴァリャーグ」に戻されました。

「ヴァリャーグ」は1917年夏には北氷洋小艦隊指揮官旗を掲げて出港し、その後イギリスでの修理を目指しましたが、同年11月のロシア革命の影響でソヴィエト政府が修理代の支払いを拒否したため、イギリスに没収されてしまいます。1918年にはイギリス海軍に所属することとなりましたが、曳航中にアイルランド沖で座礁してしまい、その後はハルクとして使用された時期を経て、1920年にはドイツに売却されました。

最終的に、曳航中にスコットランド沖で再度座礁し、1923年から1925年にかけて現地で解体されました。

関連項目

「宗谷」に関連する艦船や歴史的な出来事も多く、特務艦・巡視船「宗谷」、巡視船「そうや」、機雷敷設艦「そうや」など多岐にわたります。これらは日本海軍の歴史を語る上で欠かせない存在となっています。

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