官稲混合

官稲混合の概要

官稲混合（かんとうこんごう）は、奈良時代の天平年間（730年頃）に実施された、官稲の取扱いを統一する重要な政策です。これは、当時存在した様々な名目の官稲を正税として一本化し、運用の効率化を図るものです。

1. 律令制の初期と官稲の多様性

律令制が確立されて初期の日本では、正税に加えて雑稲と呼ばれる様々な官稲が存在しました。例えば、郡に預けられた郡稲や、駅の運営資金に使われる駅起稲などがあり、これらは特定の目的のために出挙されていました。こうした背景から、官稲が多様に運用されていましたが、管理が煩雑であり、効率が求められるようになりました。

2. 官稲混合の実施

天平6年（734年）1月18日、勅命により駅起稲を除くほぼ全ての官稲が正税に一本化されました。この政策は、官稲の管理を簡素化し、財政運営の効率を上げるためのものでした。その後、天平11年（739年）6月17日には駅起稲が、同年9月14日には兵家稲も正税に統合され、特殊な神税を除いてほぼ全ての官稲が正税に移行しました。

3. 官稲混合状とその影響

「出雲国計会帳」や「撰定交替式」などの史料によると、官稲混合の実施状況やその内容が記されています。この政策には、財政難や天災が背景にあり、官稲を一本化することで柔軟な運用を目指しました。政府は、税の責任を明確にし、不正を防ぐためにもこの改革を進めました。

4. 復活と課題

官稲混合の政策はすぐに効果を上げたものの、長続きしませんでした。天平16年（744年）には国分寺・国分尼寺の運営に必要な国分二寺稲が正税から分離され、翌年には公廨稲が新たに設定されるなど、運用は複雑化しました。その後も駅起稲が再び元の形で運用されたという記録もあり、官稲の管理に関する課題は続きました。

5. まとめ

官稲混合は、古い財政運用の形態を新しい地方支配体制に適応させる試みでしたが、実施の効果は限定的でした。奈良時代の財政運営の一端を知る上で、官稲混合の政策は重要な意味を持ちます。官稲の運用を正税に集約することで、効率化や透明性の向上が図られましたが、実際に長期間持続することは難しかったといえます。

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