定時飛行場実況気象通報式

定時航空実況気象通報式（METAR）とは

定時航空実況気象通報式、通称METARは、航空業界での気象情報の提供に特化した形式です。主に空港や航空気象台から、パイロットや航空管制官などの関係者に向けて、気象状況を的確に伝えるために利用されています。気象予報士が天気予報を作成する際にも、この情報が活用されることがあります。

METARの歴史

METARは1968年に国際民間[[航空機関]]（ICAO）の基準に基づいて制定されました。この形式は、航空気象情報を迅速かつ正確に提供するための枠組みとして考案され、以来何度かの改正を経ています。北米地域では以前、SAO（Surface Aviation Observation）という形式が使われていましたが、1989年のジュネーヴ合意により、METARの形式が普及しました。

発信頻度

一般的に、METARは1時間ごとに、あるいは30分ごとに気象情報を発信します。また、自動気象観測装置による自動配信（METAR AUTO）が行われる場合もあります。アメリカ合衆国では、空港や軍基地においてASOSと呼ばれる自動観測システムが採用されています。

名称の由来

「METAR」の名称は、フランス語の「定時航空気象観測通報」を意味する「message d’observation météorologique régulière pour l’aviation」の頭文字を取ったものとされています。しかし、国際的な文書ではWMO（世界[[気象機関]]）が「Aerodrome Routine Meteorological Report」としており、各国の航空関連機関でも異なる表記が見受けられます。

METARとSPECIの違い

METARとSPECI（特別飛行場実況気象通報式）は、書式が同じですが、通報する内容に違いがあります。METARが定期的に行われる気象観測を示すのに対し、SPECIは異常気象や緊急時に適用されます。具体的には、天候が急激に変わった、特別な照会があった、または航空機事故が発生した場合に通報されます。

METARの内容

METARには、発表日時、風向や風速、視程、降水量、雲の量、雲の高さなど多岐にわたる気象データが含まれています。特に日本の場合、降水量の報告は行わず、特別な気象状態（カラー・ステート）についての記述はありません。また、METARの後には短期予報を含むTREND情報が付録としてつけられることがあり、特に重要な変化がない場合には「NOSIG」が記載されます。

TAFとの違い

TAF（飛行場予報）は、METARとは異なり予測情報です。TAFは最大30時間の予測を行い、METARは現在の気象状態を示します。VOLMET放送では、METARとTAFが使用されますが、放送の制約から一部情報が省略されることもあります。

国際METARコードの例

METARの具体例として、ブルガリアのブルガス国際空港で発信されたMETARコードがあります。このようなコードは、風向、視程、気温、気圧などのデータを含み、航空関係者が迅速に状況を理解できるよう配慮されています。

米国・カナダでの運用

北米では、METARが一般的に米国のFAA規定を基に運用されています。これは国際的なあるフォーマットを基にしつつ、独自の単位系（マイルやノット）などが取り入れられています。そのため、METARは国際的な基準であるものの、地域によって若干の違いが存在します。

まとめ

METARは航空業界における気象情報の基盤であり、航空の安全を確保するために欠かせない存在です。航空関係者が正確な情報に基づいて運航計画を立てるため、これからも続けて進化していくことでしょう。

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