宜蘭庁

宜蘭庁について

宜蘭庁は、日本統治時代の台湾における地方行政区画の一つで、現在の宜蘭県に相当する地域を管轄していました。1897年（明治30年）に台北県から分離・新設され、1920年（大正9年）に台北州に統合されるまでの間、この地域の行政を担いました。

歴史

沿革

1897年（明治30年）6月10日、台北県宜蘭支庁の管轄区域を分割して宜蘭庁が設置されました。当初、庁の下には頭圍、宜蘭、羅東、利澤簡の各弁務署が置かれました。これらの弁務署は、地域における行政事務や治安維持を担当していました。

1901年（明治34年）には、行政組織の再編が行われ、弁務署は出張所へと変更されました。この時、宜蘭、礁渓、頭圍、東港、羅東、叭哩沙、利澤簡、蘇澳の8つの出張所が新たに設置されました。同年、台湾の地方行政区分が三県四庁から二十庁に改められ、宜蘭庁の下には頭圍、羅東、叭哩沙の3つの支庁が設けられました。

1909年（明治42年）11月23日には、深坑庁の坪林尾支庁が宜蘭庁に編入され、管轄地域が拡大しました。さらに、1917年（大正6年）8月1日には南澳支庁が新設され、より広範囲な地域を管轄するようになりました。

しかし、1920年（大正9年）9月1日、台湾の地方行政区分の再編により、宜蘭庁は台北庁、桃園庁三角湧支庁と統合され、台北州の一部となりました。これにより、宜蘭庁は台北州下の宜蘭郡、羅東郡、蘇澳郡として、その役割を終えることになりました。ただし、坪林尾支庁は台北州に編入される形で統合には含まれませんでした。

行政

歴代庁長

宜蘭庁には、以下の5名の庁長が任命されました。彼らは、宜蘭庁の行政を統括し、地域の発展に尽力しました。

西郷菊次郎：1897年5月27日 - 1902年11月28日
佐藤友熊：1902年11月28日 - 1903年9月16日
中田直温：1903年9月16日 - 1909年10月25日
小松吉久：1909年10月25日 - 1920年2月6日
* 荒巻鉄之助：1920年2月6日 - 1920年9月1日

これらの庁長たちは、宜蘭庁が設置された当初から、その終焉まで、それぞれの時代において重要な役割を果たしました。彼らのリーダーシップの下、宜蘭庁は行政、経済、文化など様々な分野で発展を遂げました。


宜蘭庁の歴史は、日本統治時代の台湾における地方行政制度の一側面を理解する上で重要な要素です。その変遷は、台湾の行政制度が時代と共に変化していく過程を示しています。

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