宝寿寺

宝寿寺について

愛媛県西条市小松町にある宝寿寺（ほうじゅじ）は、真言宗善通寺派に属する寺院です。この寺院は、かつての高野山真言宗から独立し、現在では「観音院」とも称されています。壇上には十一面観音菩薩が本尊として祀られており、四国八十八箇所の第62番札所にもなっています。

本尊とご詠歌

宝寿寺の本尊である十一面観音菩薩の真言は「おん まか きゃろにきゃ そわか」であり、安産の御利益があると信仰されています。また、この寺にまつわるご詠歌にも、難産から子どもを無事に出産した喜びが表現されています。「さみだれのあとに出たる玉の井は 白坪なるや一宮かわ」と詠まれ、地域の人々に深く愛されています。

歴史的背景

寺院の由来は、聖武天皇の勅願によって、天平年間に遡ります。その際、大国主大神が白坪の地に三神を奉斎したことから始まりました。さらに、空海（弘法大師）が訪れて十一面観音像を刻み、寺の名を「宝寿寺」と改名しました。このことが寺院の基礎を固め、安産の観音として地域の信仰を集めることとなりました。

自然災害への対処

宝寿寺は、過去に何度も中山川の氾濫に見舞われました。1145年に堂宇を再建した際には山号を「天養山」と改め、1565年には羽柴秀吉による四国進攻を受けて荒廃しました。その後、寛永13年に新たな場所にこの寺を移し、再興されました。

霊場会との関係

宝寿寺は、2015年に四国八十八か所霊場会から退会し、その結果としての民事訴訟が発生しました。しかし、2017年に高松地方裁判所で宝寿寺の退会が認められ、以降の納経時間や納経料は変更されました。最終的に、2019年には霊場会に再加入し、現在では通常の納経や参拝が行われています。

境内の構造

境内には複数の重要な建物が存在します。本堂内には本尊の十一面観音立像が配され、地蔵菩薩や千手観音像も安置されています。また、大師堂には弘法大師の坐像があり、年齢に応じた厄除けを願われることも多いです。香炉や厄捨て場もあり、参拝者が厄を捨て、願いを込める場所として利用されています。

文化財と交通アクセス

宝寿寺には県指定の有形文化財である孔雀文磬（けい）も存在し、その歴史的価値が評価されています。アクセスは四国旅客鉄道の予讃線伊予小松駅から徒歩圏内で、バスや自動車でも訪れることができます。

終わりに

宝寿寺は地域の人々に深い信仰を受け入れられ、多くの参拝者が訪れるスポットです。安産の観音として信仰される十一面観音菩薩に、是非お参りして、安産や心願成就を祈ってみてはいかがでしょうか。

もう一度検索