宝座 (正教会)

宝座（ほうざ、寶座）は、正教会の聖堂内における最も神聖な場所、至聖所に設けられる祭壇です。この祭壇は、聖体礼儀という正教会における最も重要な儀式が執り行われる中心であり、聖堂の中でも特別な存在として扱われます。

祭壇としての宝座

宝座は、聖体機密の中心となる場所であり、その形状は四角形をしています。この四角形は、福音が世界の四方へ広がることを象徴していると解釈されます。宝座は、黙示録に登場する宝座を模しており、その上には、信徒の遺体が納められることがあります。これは、初期の教会時代に信徒が迫害から逃れ、地下や墓で礼拝を行った歴史を記念するものです。

宝座の上には、聖体（予備聖体）を納めた聖龕や福音経をはじめとする様々な聖器物が置かれます。これらの聖器物に触れることができるのは、輔祭以上の神品のみに限られています。宝座は、単なるテーブルではなく、聖なる祭壇であり、その上に座ることは決してありません。主教が座る場所は、宝座ではなく、主教座と呼ばれています。

天使の一階級としての宝座

宝座は、天使の階級の一つでもあります。この天使の階級は、古代にディオニシオス・アレオパギティスによって整理され、聖書にも記述があります。天使の階級としての宝座は、ギリシア語で「θρόνοι」、ロシア語で「Престолы」、英語で「Thrones」と表記されます。

聖書における訳語

聖書において、宝座という言葉は、ギリシア語の「Θρόνος」(Thronos)に由来します。日本[[正教会訳聖書]]では、この「Θρόνος」を「寶座」または「宝座」と訳していますが、新共同訳聖書では、文脈に応じて「王座」や「座」と訳し分けられています。

まとめ

宝座は、正教会において、祭壇としてだけでなく、天使の階級名としても重要な意味を持つ言葉です。聖体礼儀の中心となる場所であり、その神聖さから、特別な扱いを受けています。宝座は、正教会の信仰と伝統を象徴する、不可欠な存在と言えるでしょう。

参考情報

以下に、宝座に関する参考文献、関連項目、外部リンクを記載します。

参考文献
ミハイル・ソコロフ著、木村伊薩阿克訳『正教奉神禮』日本正教会（明治24年）
『正教会の手引き』日本正教会　全国宣教委員会　72頁・73頁（2004年10月）
関連項目
ディキリとトリキリ
ヘルヴィムの歌
聖三祝文
リピタ
アンテペンディウム
外部リンク
* 正教会の奉神礼・機密・伝統習慣(2) - ウェイバックマシン

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