宝泉寺駅

宝泉寺駅について

宝泉寺駅（ほうせんじえき）は、大分県玖珠郡九重町にかつて存在した日本国有鉄道（国鉄）宮原線の駅で、1984年に廃駅となりました。この駅は、1937年に恵良駅とを結ぶ区間が開通した際に新たに設置されたもので、地域の交通の一端を担っていました。

歴史

宝泉寺駅の歴史は1937年6月27日に始まります。この日、宮原線の恵良駅から宝泉寺駅間が開業し、その後は一般駅として利用されていました。しかし、1943年9月には宮原線が不要不急線に指定され、営業は休止状態に入りました。5年後の1948年4月には再び営業が開始され、1954年には宝泉寺駅と肥後小国駅間が延伸開業しました。

1971年に貨物取り扱いが廃止された後も利用は続いていましたが、1984年12月1日に宮原線が全線廃止されることとなり、宝泉寺駅もその運命を共にしました。一時は駅舎もそのまま残されていましたが、1986年には鉄道記念館として再利用され、地域の観光資源として機能しました。しかし、この記念館も2004年に閉館し、その後は利用者が減少し、駅跡は必然的に寂しい場所となってしまいました。

2017年7月22日には、駅の跡地に観光物産館「宝泉寺駅」がオープン。こちらでは地元の農産物や商品を販売し、旧宮原線に関する資料も展示されるなど、地域の歴史を伝える場として再生されたのです。しかし、2020年には新型コロナウイルス感染拡大により一時休業し、最終的には閉店してしまいました。現在はその跡地に、2023年8月10日付でbakery cafe Humpty Dumptyが新たに開業しました。

駅構造

宝泉寺駅は、廃止時点で島式ホームを有する有人駅でした。ホームは地上より高い場所に位置し、駅舎からトンネルを潜り、階段を上がった場所にありました。このため、通行の際には少々の不便も伴いましたが、それもまたこの駅の特徴の一部でした。現存するトンネルと階段は、当時の面影を残しています。

利用状況

宝泉寺駅は運行当初は活発に利用されていましたが、時とともに乗客数は減少の一途を辿りました。廃止前の各年度の1日平均乗車人員は徐々に低下しており、ついには廃駅に至る大きな要因となっていました。

周辺環境

駅の周辺には、訪れる価値のある温泉地が点在しています。特に宝泉寺温泉や壁湯温泉、川底温泉などは観光客にも人気のスポットで、自然豊かな環境の中でリラックスしたひとときを提供しています。

遺構と地域の再生

宝泉寺駅の廃止後、駅舎は撤去されましたが、遺構としての記憶は地域に残っています。鉄道記念館の閉館後も、その場所は貴重な地域資源として活用され、観光物産館の設立により、新たな賑わいを生むこととなりました。地域の人々や旅行者にとって、宝泉寺駅跡は文化や歴史が息づく重要な場所であり続けています。

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