宮ヶ瀬ダム

宮ヶ瀬ダムの概要

宮ヶ瀬ダム（みやがせダム）は、日本の神奈川県にある特定多目的ダムで、相模川水系中津川に建設されています。ダムの所在地は、愛甲郡愛川町半原、相模原市緑区青山、愛甲郡清川村宮ヶ瀬の3市町村に跨る地域です。ダムによって形成された宮ヶ瀬湖は、多くの人々に親しまれています。2000年12月に竣工したこのダムは、重力式コンクリートダムであり、洪水調節や上水道供給を含む多様な機能を持つ重要なインフラです。

歴史的背景と沿革

相模川は、日本の河川総合開発事業の早期から実施されていて、既に相模ダムが1947年に完成し、1965年には城山ダムが完成しています。しかし、その後も増加する人口に伴い、上水道や工業用水道の需要が供給を上回る状況が続いていました。また、相模川の流域で宅地化が進む中、堤防の建設や河川の川幅拡幅が困難であり、水害のリスクが高まっていました。さらに、新幹線や高速道路の開通を受けて、より強固な治水対策が求められていました。

こうした背景を受けて、中津川における洪水調節の必要性からダム建設の計画が進められました。当初の名称は「中津川ダム」でしたが、計画が拡充されたため「宮ヶ瀬ダム」と命名されました。1969年には建設省がダム建設計画を発表し、1971年から特定多目的ダム事業として実施されました。堤高156.0メートル、総貯水容量約2億トンと、首都圏内でも最大規模を誇るダムとして注目を集めました。

ダムの目的

宮ヶ瀬ダムの主な目的は、中津川や相模川の洪水調節、沿岸農地への農業用水供給、河川生態系の維持・保全です。また、ダムは神奈川県全体の上水道供給の重要な役割を果たし、多くの市町村に飲料水を供給しています。ダム下流には愛川第一発電所が併設され、最大出力24,000kWの水力発電も行なわれています。

ダム湖である宮ヶ瀬湖は、相模川や道志川へ接続され、相模ダム、城山ダム、道志ダムとの連携によって効率的な水資源の管理が図られています。さらに、宮ヶ瀬副ダム（俗称・石小屋ダム）も建設され、洪水調節やさらなる水力発電に寄与しています。

保証問題

つぎに、宮ヶ瀬ダムの建設に関わる補償問題ですが、事業費は約3,970億円に達し、日本でも最大規模のダム事業です。1971年の計画発表以降、300戸の住居が水没することから大規模な反対運動が起こり、長期間にわたる補償交渉が行われました。最終的に、移転地では公共施設や道路の整備が進められ、地域住民の生活再建が図られました。

観光地としての魅力

宮ヶ瀬ダムは、完成以降観光地としても整備されており、首都圏からのアクセスも良好です。ダムの近くにはあいかわ公園があり、ピクニックやレジャーを楽しむ多くの人々で賑わいます。特に観光放流（週に数回行われる）が行われる日は、観光客がダムの美しい景観を楽しむために訪れます。さらに、湖畔では花火大会やイルミネーションイベントもあり、多彩なアクティビティが提供されています。

また、ダムの周辺には釣りやキャンプ場などのレジャー施設も整備されており、訪れる人々にとって様々な楽しみ方があるスポットとなっています。宮ヶ瀬ダムはその美しい自然と先進的な機能を兼ね備えた、地域にとって重要な施設です。

もう一度検索