道志川

道志川（どうしがわ）

道志川は、山梨県南都留郡道志村に源を発し、神奈川県相模原市緑区へと流れる、相模川水系の一級河川です。山梨県と神奈川県の境を流れ、豊かな自然と人々の生活に深く関わっています。

地理

道志川は、山梨県南都留郡道志村の山伏峠付近を源流とし、道志山塊や丹沢北西部の山々に育まれた水を、道志村を横断しながら集めます。その後、神奈川県に入り、相模原市緑区津久井地区と藤野・相模湖地区の境を東へ流れ、最終的には津久井湖の最上流部で相模川に合流します。

源流の標高は約1,120メートル、相模川との合流地点は約120メートルで、その高低差が急峻な流れを生み出しています。川の両岸はほぼ全域が山地で、蛇行しながら渓谷を形成し、多くの支流や沢が流れ込んでいます。

道志村と相模原市緑区青根・青野原は、流域の分水嶺に位置するため、全域が道志川の流域面積に含まれています。

横浜市有道志水源かん養林

横浜市の水道は、当初多摩川水系の二ヶ領用水から取水していましたが、水質汚染や水源の枯渇により、道志川を新たな水源としました。大正時代以降、横浜市は水源林の保全に取り組み、その結果、道志川沿いには手入れの行き届いた森林が広がっています。

この森林は「横浜市有道志水源かん養林」として、水源の森百選にも選ばれています。森林が涵養する水は中性の軟水で、日本人の嗜好に合致しています。かつては「赤道を超えても腐らない水」として、船乗りたちにも称賛されていました。

横浜市は道志村と友好関係を築き、水源涵養林の保全や、ペットボトル水「はまっ子どうし」の販売など、水源保全のための活動を続けています。道志村の面積の約36％が、横浜市によって水源涵養林として保全されています。

流域の自治体と支流

道志川の流域には、以下の自治体が含まれます。

山梨県：南都留郡道志村
神奈川県：相模原市緑区

主な支流には、鳥屋沢、掛水沢、三ヶ瀬川、道坂川、室久保川、椿沢、大群沢、神之川、小屋戸沢、唐沢、西沢、寺入沢などがあります。

河川施設

道志川には、以下の河川施設があります。

道志ダム・奥相模湖：神奈川県企業庁が運営する発電および水道取水用のダムで、1955年に建設されました。増水時には、宮ヶ瀬ダムへの放水を行うための道志導水路も整備されています。
横浜市水道局 青山取水口・青山水源事務所：1897年に設けられた横浜市水道の取水口です。自然流入により取水できる場所に移設され、現在も稼働しています。

生態系

上流の道志村内は、横浜市による水源涵養林の保全により、水質が良好に保たれています。ヤマメやアユなど、清流にしか生息できない水生生物が生息しています。

一方、下流の神奈川県内では、道志ダム・奥相模湖からの土砂流出や河川工事による水質汚濁が問題となっています。また、沿川のキャンプ場からの排水による汚染も懸念されています。

道志川は、絶滅危惧II類に指定されているスナヤツメの神奈川県下最大の生息域でもあります。しかし、ダムや護岸改修などの人為的な開発による環境破壊の問題も抱えています。

周辺

道志川の周辺には、以下のような場所があります。

丹沢、道志山塊
道志渓谷
道志橋（国道412号上）
国道413号（津久井街道、道志みち）
両国橋（道志村と相模原市の境）
キャンプ場（「キャンプ場銀座」とも呼ばれるほど多数存在）

道志川は、豊かな自然と清らかな水に恵まれた一方で、環境保全の課題も抱える、重要な河川です。

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