宮内三朗

宮内三朗（みやうち さぶろう）

生涯

宮内三朗は、1889年（明治22年）4月5日に現在の千葉県旭市で生まれ、1972年（昭和47年）3月13日に生涯を閉じました。彼は昭和期の政治家であり、特に戦後の千葉市長としての功績が広く知られています。

若年期と初期のキャリア

彼は、地元の三川尋常小学校、三川小学校高等科を卒業後、地域社会の「新導会」で報徳思想を学びました。1902年には、海上郡役所に書紀見習として入庁し、公務員としてのキャリアをスタートさせました。1913年には、その能力を買われ千葉県庁へ移り、産業組合を担当するなど農業分野で経験を積みます。この間、野田醤油労働争議の調停にも携わるなど、多岐にわたる分野で活躍しました。

1922年には、37歳という若さで山武郡長に抜擢され、高等官七等に任ぜられました。1926年に千葉県庁に復帰し、千葉県鉄道管理所長として勤務した際には、多古線の成田電気軌道への売却を提案し、実現に導きました。さらに、その売却益を元に漁業指導船「ふさ丸」を建造するなど、行政手腕を発揮しました。

千葉市助役から市長へ

1933年、宮内は当時の千葉県知事、岡田文秀により千葉市助役に任命されました。彼は徴税機構の整備、道路網の強化、区画整理、合併問題といった都市開発における重要な課題に取り組みました。戦時中は、配給制度の構築、防火体制の強化、空襲被害からの復旧に尽力しました。1945年に助役を辞任した後、配給営団勤務を経て、1947年には千葉市から県議会議員に立候補し、当選を果たしました。

1950年、自由党の要請を受け千葉市長選挙に出馬し、当選しました。以後、5期20年という長きにわたり市長を務め、その間に千葉市の発展に大きく貢献しました。

千葉市長としての功績

宮内三朗は、千葉市長として、川崎製鉄の千葉進出、千葉港の建設、国鉄千葉駅及び京成千葉駅の移転、土気町との合併、千葉市立郷土博物館（通称：千葉城）の建設など、今日の千葉市を形成する上で重要な事業を数多く推進しました。これらの功績により、彼は「千葉市発展中興の祖」と称えられています。彼のリーダーシップのもと、千葉市は政令指定都市へと発展する基礎を築きました。

1970年に市長を退任し、同年6月17日には千葉市名誉市民第一号となりました。

人物像とエピソード

宮内は、全国町村会長を務めた小見川町長の山本力蔵と共に、千葉県の将来や過疎地の北総のあり方を憂慮していました。山本が新東京国際空港公団理事に就任すると、宮内は新東京国際空港（現・成田国際空港）の建設に賛同しました。彼は、千葉港から空港へ航空燃料を輸送するパイプライン建設を内諾していましたが、後任の荒木和成が空港公団に条件を提示したことや、中央官庁の介入により公団が約束を履行しなかったため、工事が中断され、空港の開港が遅れる一因となりました。

1968年に体調を崩し千葉大学附属病院に入院しましたが、「千葉市政のためなら死んでもよい」と語り、議会開会中は病院から登庁して一日も欠席することなく、職務を全うしました。

その他

元千葉県議会議長の宮内三朗は別人ですが、宮内三朗とは縁戚関係にあります。

参考文献

* 『千葉大百科事典』千葉日報社、1982年。

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