宮内村 (広島県)

宮内村（みやうちむら）は、かつて広島県佐伯郡に位置し、現在の廿日市市の一部を構成していた村です。瀬戸内海に面し、御手洗川が流れる自然豊かな地域でした。

歴史

1889年（明治22年）4月1日の町村制施行により、佐伯郡宮内村が単独で村制を施行し、宮内村が誕生しました。村は近代化の波に乗り、1906年（明治39年）には宮内郵便局が開設され、1907年（明治40年）には郡内で初めてとなる産業組合、有限責任信用販売購買生産組合が設立されました。これにより、地域経済の活性化が図られました。

しかし、1956年（昭和31年）9月30日、宮内村は佐伯郡の廿日市町、平良村、地御前村と合併し、廿日市町として新たに発足し、宮内村は廃止されました。この合併により、廿日市町はより広範な地域を統括する自治体となり、発展を遂げることになります。

地名の由来

宮内という地名は、厳島神社の政所が所在していたことに由来します。政所とは、神社における事務や財政を司る重要な機関であり、その存在が地名として残ったことは、宮内村が古くから厳島神社と深い関わりを持っていたことを示唆しています。

産業

宮内村の主要な産業は、農業と製材業でした。温暖な気候と豊かな水源に恵まれたこの地では、米や野菜などが栽培され、地域の食料を支えていました。また、山林資源も豊富であり、製材業も盛んに行われました。

交通

宮内村は、交通の要所としても発展しました。1925年（大正14年）には、広島瓦斯電軌（現在の広島電鉄）宮島線が開通し、宮内駅が設置されました。これにより、広島市中心部とのアクセスが向上し、人や物の交流が活発化しました。また、1931年（昭和6年）には、観光道路（現在の国道2号）が開通し、交通の利便性がさらに高まりました。

出身人物

宮内村出身の人物として、桝井光次郎が挙げられます。彼は、イチジクの品種「桝井ドーフィン」の創始者として知られています。彼の功績は、日本のイチジク栽培に大きな影響を与え、現在でも広く栽培されています。

宮内村は、短い期間ではありましたが、独自の歴史と文化を育み、廿日市市の一部としてその名を残しています。その歴史を振り返ることは、地域のルーツを知り、未来を考える上で重要な意味を持つでしょう。

参考文献

角川日本地名大辞典 34 広島県
『市町村名変遷辞典』東京堂出版、1990年。

関連項目

* 広島県の廃止市町村一覧

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