宮城県美術館

宮城県美術館：芸術と歴史が息づく仙台の文化拠点

宮城県仙台市青葉区に位置する宮城県美術館は、近代以降の宮城県、東北地方ゆかりの美術作品を数多く収蔵する県立美術館です。1981年、建築家・前川國男の設計による本館が開館。その後、1990年には彫刻家・佐藤忠良の作品を展示する佐藤忠良記念館が別館として加わり、充実した文化施設として親しまれています。

美術館の歩み：建設からリニューアルへ

美術館の建設は、1972年の宮城県芸術協会による要望書をきっかけに始まりました。幾多の協議を経て、1979年には川内の国有地が払い下げられ、1980年から建設工事が進められ、翌年には本館が開館。その後、佐藤忠良記念館の開館、2007年から2008年にかけての改修工事と、その歴史は数々の出来事を経てきました。

近年では、老朽化問題を受け、2019年には移転計画も検討されましたが、市民からの強い要望を受け、2023年6月より現地での大規模改修工事が開始。2025年頃の再開を目指し、施設の機能向上と耐震性の強化を図り、子供向けワークショップスペースの設置、収蔵庫の公開といった新たな取り組みも予定されています。

貴重なコレクション：郷土の芸術と国際的な作品

宮城県美術館の収蔵品は、東北地方にゆかりのある作家の作品が中心です。太田聴雨、荘司福、高橋由一といった巨匠の作品から、棟方志功、萬鉄五郎、松本竣介といった近代絵画、さらには具体美術協会の作品群や、洲之内徹氏のコレクションなど、多様な作品が所蔵されています。

地元作家の作品だけでなく、カンディンスキーやクレー、シーレといった西洋近代絵画の名作や、三浦コレクションとして知られる19世紀末から20世紀初頭のフランス・イタリアポスターコレクションなど、国際的な作品も収蔵。多様な視点から芸術を鑑賞できる点が魅力です。

特に佐藤忠良記念館には、佐藤忠良の作品約1100点が収蔵されており、氏の芸術世界を深く探求できます。

美術館の空間：建築と自然の調和

前川國男設計の本館は、地下1階、地上2階建ての建物で、洗練されたデザインが特徴。4つの展示室に加え、創作室、図書室、レストランなど、来館者が快適に過ごせる空間が整備されています。

佐藤忠良記念館は、大宇根・江平建築事務所の設計による地下1階、地上1階建ての建物で、本館とは異なる趣の空間を提供。美術館内には、前庭、中庭、北庭、そして本館と佐藤忠良記念館の間に位置する「アリスの庭」など、4つの庭園があり、彫刻が配置された美しい景観も魅力です。

本館は1983年にBCS賞、1998年には公共建築百選にも選ばれており、その建築的価値も高く評価されています。

アクセスと周辺環境

美術館は、仙台市地下鉄東西線国際センター駅または川内駅から徒歩7分とアクセス良好。仙台駅からのバス路線も充実しています。周辺には、宮城県仙台第二高等学校、東北大学川内キャンパス、青葉山公園、仙台城跡などがあり、文化的な環境に恵まれた立地です。

利用情報

展示室の観覧には有料となりますが、庭園などは無料で利用できます。年間の来館者数は約25万人を数え、東北地方を代表する美術館として、地域文化の中核を担っています。

まとめ

宮城県美術館は、充実したコレクション、洗練された建築、そして良好なアクセスと、多くの魅力を兼ね備えた美術館です。改修工事が完了し、リニューアルオープンすれば、さらなる魅力が加わることでしょう。仙台を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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