宮城音弥

宮城音弥 (みやぎ おとや) について

宮城音弥は、1908年3月8日に東京で生まれ、2005年11月26日に亡くなった日本を代表する心理学者です。彼は東京工業大学の名誉教授であり、長年にわたり心理学と精神医学の研究や教育に貢献してきました。

来歴

宮城は1931年に京都帝国大学の文学部哲学科を卒業後、フランスに留学し、精神医学の勉強を行いました。帰国後は、慶應義塾大学や文化学院、東京大学で講師として指導を行い、1949年には東京工業大学の教授に就任しました。また、日本大学の教授職も歴任しました。彼の活動は、心理学の知識を一般に広めることを目的として、多くの一般著作や講演活動を含みます。

宮城の著作には、『日本人の性格』や『夢』、さらには『精神分析入門』や『超能力の世界』などがあります。特に『娘を早く嫁がせる法』は、著名な批評家である呉智英によって「心理学者に教わるまでもない常識」と批判されましたが、それでも多くの人が宮城の著書を通じて心理学に興味を持つようになりました。

社会評論家としての業績

心理学と精神医学の発展に寄与しただけでなく、宮城は社会評論の分野でも活躍しました。清水幾太郎や丸山真男と共に二十世紀研究所を設立し、社会的な問題に対する考察や批評を行いました。1944年には、ハリー・スタック・サリヴァンの著作を日本で初めて翻訳し紹介しました。また、宮城が1948年に発表した論文『封建的マルクス主義』は、日本におけるスターリン批判の嚆矢として評価されています。

軽妙な表現で教育、宗教、文明論など様々な問題についての独自の見解を示し、また『チャタレイ夫人の恋人』の裁判では弁護側の証人として出廷し、わいせつ性の否定に努めました。その後、1979年には勲三等旭日中綬章を受章し、彼の業績が広く認められました。

超心理学とオカルトの研究

1960年代以降、宮城は岩波新書において超心理学や死後の世界、超能力、手相などに関する多数の著書を発表しました。心理学を学ぶ中で、彼自身が体験した夢や霊現象に興味を抱いていたことも影響しています。彼は、日本における超心理学の研究を広める一方で、主張の裏付けがない場合は否定しない態度を強調し、信用できる研究者による実証的な検証を求めました。

私生活と家族

宮城音弥の妻、津留二三子は日本の女性精神科医の草分けともいえる存在でした。彼女は東京巣鴨の私立精神病院「保養院」の院長回診の助手として、患者との関わりを深めました。二人は共に多くの心理学に関する業績を残し、心理学の普及に努めました。

結言

宮城音弥の遺した業績は、心理学や精神医学だけでなく、社会学的視点からの分析も含めた多岐にわたります。彼の影響力は、現在も多くの研究者や学生に受け継がれており、心理学の普及における重要な役割を果たしました。

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