宮崎周一

宮崎周一：昭和期の陸軍中将、その生涯と軍歴

宮崎周一は、1895年に長野県下伊那郡飯田町（現在の飯田市）で生まれました。警察官の父、宮崎岩太郎の長男として、彼は幼少期を過ごし、後に軍人の道を歩むことになります。豊橋中学校を経て陸軍士官学校に進学し、1916年に卒業。歩兵少尉に任官し、歩兵第17連隊に配属されました。その後、陸軍大学校を卒業し、エリート軍人としてのキャリアを積み重ねていきます。

軍歴の初期

宮崎は、陸士予科区隊長などを務めた後、1927年に陸軍大学校を卒業。歩兵第17連隊中隊長に就任します。1929年には参謀本部付勤務となり、外国戦史課でその専門知識を活かしました。1931年には歩兵少佐に昇進し、1932年からは陸軍大学校の教官として、5年以上にわたり戦史を教える立場に。この期間に培われた戦史に関する深い知識は、後の彼の軍事戦略に大きな影響を与えることになります。1935年には歩兵中佐に進級し、1937年には欧州へ出張。

日中戦争と太平洋戦争

1938年、宮崎は歩兵大佐に昇進し、日中戦争では第11軍作戦参謀として出征。その後、歩兵第26連隊長を務め、1940年には再び陸軍大学校教官に復帰しました。1941年には陸軍少将に進級。太平洋戦争開戦後、ガダルカナル島の戦いでは第17軍参謀長として、作戦指導にあたりました。この戦いでは、ルンガ飛行場（後のヘンダーソン飛行場）の航空写真が作戦に影響を与えたとされています。しかし、最終的には玉砕を主張するも、司令官の判断で撤退が決定しました。

本土決戦準備と終戦

ガダルカナル島から内地に戻った宮崎は、参謀本部第4部長、陸大幹部などを歴任。1944年には第6方面軍参謀長として漢口に赴任。同年10月には陸軍中将に進み、同年12月には帝国陸軍最後の参謀本部第1部長に就任しました。第1部長として、宮崎は本土決戦の準備に尽力。本土決戦に必要な兵力を算出した結果、50個師団という驚くべき数となり、陸軍省軍務局との間で論争が起こりましたが、最終的には大規模な動員が実行されることになります。しかし、この本土決戦主義は沖縄作戦にも影響を与え、第9師団の台湾抽出後の沖縄への増援を独断で中止したため、戦後批判を浴びることになりました。

終戦後は、1945年9月2日、戦艦ミズーリ号で行われた降伏文書調印式に日本側全権代表団として参加。その後、史実部長として復員省で勤務し、戦史編纂に携わりました。しかし、1947年には公職追放の仮指定を受け、軍人としてのキャリアに終止符を打ちます。

戦後と家族

宮崎の妻は、後藤栄蔵の娘であるチヨです。息子には、陸上自衛隊の幹部である宮崎忠夫がいます。宮崎忠夫は、陸士59期で、陸将、富士教導団長、陸上自衛隊富士学校副校長などを務めました。


宮崎周一は、その生涯を通じて、軍人として激動の時代を駆け抜けました。戦史研究で培われた深い知識と、参謀としての冷静な判断力は、日中戦争、太平洋戦争という激戦の中で、その能力を発揮しました。しかし、その一方で、本土決戦への強いこだわりは、沖縄戦における増援部隊派遣の中止という、悲劇的な結果も招きました。彼の軍人としての功績と、その後の評価は、歴史の中で様々な議論を呼んでいます。

宮崎の著作には『大本営陸軍部作戦部長宮崎周一中将日誌』があり、彼の軍人としての足跡をたどることができます。

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