宮川房長

宮川房長（宮川房頼）

宮川房長（みやがわ ふさなが）または宮川房頼（みやがわ ふさより）は、戦国時代の武将であり、陶氏に仕えた家臣です。周防国玖珂郡の高森城を拠点とし、その周辺地域を支配していました。一般的には「房長」の名で知られていますが、自身が署名した文書には、主君である陶興房から一字拝領した「房」と、宮川氏の通字である「頼」を組み合わせた「房頼」という諱が記されています。

生涯

宮川房長は、大内氏の重臣であった陶氏の家臣、宮川興房の子として生まれました。陶興房、そしてその子である陶晴賢の二代に仕え、周防高森城主として周防東部の山代地域を支配しました。

永正8年（1511年）の船岡山合戦をはじめ、数々の合戦に参加し、武功を挙げました。その武勇は広く知られていました。

大内義隆が陶隆房（後の晴賢）の謀反によって滅亡した大寧寺の変の後、天文23年（1554年）に毛利氏が陶氏に対して反旗を翻すと、房長は3000余（7000という説もあります）の兵を率いて安芸国西部へ進出、桜尾城近くの折敷畑山に陣を構え、毛利氏の動向を警戒しました。しかし、毛利元就は機先を制し、奇襲包囲攻撃を敢行。これにより宮川軍は大敗を喫し、房長自身も逃走中に自害しました（折敷畑の戦い）。

この折敷畑の戦いでの敗北は、陶氏にとって大きな痛手となりました。兵力の再編を余儀なくされた陶氏は、早期の安芸侵攻を断念せざるを得なくなります。その結果、毛利氏は安芸国内における陶氏側の勢力を討伐する余裕を得て、後の厳島の戦いに向けて、後顧の憂いを断つことに成功しました。宮川房長の死は、毛利氏の勢力拡大に大きく貢献したと言えるでしょう。

房長の孫である平三郎は、後に吉川元春に仕えました。

房長の墓所の場所は残念ながらわかっていませんが、辻堂原城跡には「腹切岩」が残っており、廿日市市の史跡として指定されています。これは、房長が自害した場所であると伝えられています。

関連作品

『毛利元就』（1997年、NHK大河ドラマ、演：大島宇三郎）

脚注

注釈

宮川房長の諱については、「房長」と「房頼」の二つの説が存在します。

出典

参考文献を参照

参考文献

和田秀作「陶氏の奉書署判者について」山口県文書館『山口県文書館研究紀要50』、2023年3月、51-68頁。

関連項目

野上房忠
三浦房清

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