桜尾城

桜尾城（さくらおじょう）

桜尾城は、かつて安芸国佐西郡廿日市（現在の広島県廿日市市桜尾本町）にあった日本の城です。厳島神社で有名な宮島の対岸、瀬戸内海に面した海城でした。

概要

桜尾城は複郭式の海城として築かれ、築城当時は三方を海に囲まれていました。江戸時代までは城跡はほとんど手付かずの状態でしたが、近代に入り埋め立てや造成などの開発が進められました。大正元年（1912年）には、かつての城主である桂元澄の末裔、桂太郎が土地を買収し、廿日市町（当時）に寄付。整備後、大正2年（1913年）に桂太郎の名を冠した桂公園として開園しました。桂は城址の永久保存を願って町に寄贈しましたが、昭和40年代に地形が変更され、都市公園として再整備されたため、現在では遺構は残されていません。

沿革

承久3年（1221年）の承久の乱後、中原親能の一族である藤原親実が新たな厳島神主となり、桜尾城を築城しました。しかし、藤原親実は幕府の要人でもあったため、厳島に下向して神職を務めることはなく、代官による支配が行われました。時代が下り、幕政が混乱すると、藤原氏が下向して桜尾城に入城し、直接支配するようになります。

室町時代には、武田氏の武田信賢が厳島神主家の社領に侵入し、永享13年/嘉吉元年（1441年）には桜尾城も包囲されましたが、これを撃退しました。その後は大内氏の傘下に入り、桜尾城も平穏な時期を迎えましたが、戦国時代に入ると家督を巡って一族間で争いが勃発。長い内紛の末、友田興藤が家督を継承し、桜尾城を新たな居城としました。その後、大内氏が家督に介入してきたため、興藤は尼子氏と通じ、天文10年（1541年）に大内氏を離反しましたが、逆に大内義隆に攻撃され、桜尾城は落城。興藤は自害しました。友田興藤の自害後、大内家臣の杉隆真が佐伯景教と名乗り、新たな当主となりました。

大寧寺の変後は、陶家臣の江良賢宣などが城番を務めていましたが、大内・陶氏に反旗を翻した毛利軍の侵攻により、天文23年（1554年）5月12日に開城。毛利元就の支配下に入りました（防芸引分）。城主として桂元澄が入城し、天文24年（1555年）の厳島の戦いでは後方支援を担いました。戦いの後に自害した陶晴賢の首実検もこの城で行われました。その後も桜尾城は桂元澄の居城として続きましたが、元澄の死後、毛利元就の四男である穂井田元清に与えられ、その居城となりました。天正14年（1586年）から豊臣秀吉が九州征伐を開始。翌年、豊臣秀吉が九州へ向かう途中、桜尾城に立ち寄り、厳島神社を参詣しています。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いの後、安芸国は福島正則の支配地となり、この時に桜尾城は存在価値を失い、廃城となりました。

関連項目

海城 (城郭)

外部リンク

桜尾城址 - はつかいち旅ナビ（はつかいち観光協会）
* 桜尾城址 - ひろしま観光ナビ（広島県観光連盟）

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