宮本拓海

宮本 拓海（みやもと たくみ）

宮本拓海氏は、1967年に福岡県福岡市に生まれた、フリーランスで活動する動物ジャーナリストおよびイラストレーターです。長年にわたり、動物や自然科学に関するテーマを中心に、執筆、イラストレーション、写真撮影といった多様な手法を用いて情報発信を行っています。また、かつては都市動物研究会の理事を務めるなど、都市環境における野生動物に関する深い知見も有しています。

キャリアの歩み

宮本氏のキャリアは、株式会社アスキーでの勤務から始まりました。この時期には、当時としては先進的なパーソナルコンピュータであるMSXの開発に携わったほか、メディア開発者としてCD-ROM書籍の編集やディレクションを担当しました。特に、マルチメディアの特性を活かした科学教育分野の書籍制作に注力し、その後の動物ジャーナリストとしての活動の基礎となる経験を積みました。

株式会社アスキー在籍中に手掛けた代表的なCD-ROM書籍には、以下のようなものがあります。

『マルチメディア昆虫図鑑』（1995年、日高敏隆監修、海野和男著）
『マルチメディア魚類図鑑』（1996年、中坊徹次監修、田口哲著）
『マルチメディア爬虫類両生類図鑑』（1998年、千石正一著）

これらの図鑑は、画像、音声、動画といったマルチメディア要素を駆使し、生物に関する専門知識を分かりやすく伝えることを目指したものであり、当時の技術を活用した先進的な試みでした。宮本氏はこれらの企画・制作において重要な役割を果たしています。

1999年に株式会社アスキーを退社してからは、フリーランスとして独立。以後、動物ジャーナリストおよびイラストレーターとしての活動を本格化させました。執筆活動においては、生物学的な知見に基づいた正確な情報を分かりやすく解説することを心がけ、イラストレーションでは、対象となる動物の生態や特徴を捉えつつ、その魅力を引き出すような表現を追求しています。写真撮影も行い、フィールドワークで得た映像や記録を作品に活かしています。

主な著作活動

宮本氏は、自身の専門分野に関する複数の書籍を執筆または制作に携わっています。共著、単著、イラスト担当など、その関わり方は多岐にわたります。

共著『外来水生生物事典』（柏書房、2005年、ISBN 978-4760127467）：日本国内で見られるようになった外来性の水生生物について、その特徴や生態、分布などを詳細に解説した事典です。
イラスト担当『シンカのかたち - 進化で読み解くふしぎな生物』（技術評論社、2007年、ISBN 978-4774130620）：生物の進化の過程で生まれたユニークな形や機能に着目し、なぜそのような特徴を持つに至ったのかを分かりやすく解説する書籍であり、宮本氏がイラストを担当しました。
共著『タヌキたちのびっくり東京生活 - 都市と野生動物の新しい共存』（技術評論社、2008年、ISBN 978-4774135250）：都市部に生息する野生動物、特にタヌキに焦点を当て、彼らが都市環境にどのように適応して生活しているのか、そして人間との間に生じる問題や共存のあり方について論じています。
単著『害虫の科学的退治法 - 大嫌いなゴキブリ、カ、ハエ、ムカデなどをわが家から追いだす方法は?』（ソフトバンククリエイティブ、サイエンス・アイ新書、2009年、ISBN 978-4797353358）：家庭で困りがちな害虫について、その生態を解説し、科学的な根拠に基づいた効果的な駆除・対策方法を提示しています。一般読者にも分かりやすい実践的な内容です。
一部執筆：佐々木洋氏が監修を務めた『動物の見つけ方、教えます! - 都会の自然観察入門』（数研出版、チャートBOOKS SPECIAL ISSUE、2004年、ISBN 978-4410138096）においても、執筆者の一人として参加しています。

その他の活動

フリーランスとして活動する傍ら、都市動物研究会の理事としても活動していました。都市化が進む現代社会における野生動物の適応や、人間活動との軋轢、そして共存の可能性といったテーマは、宮本氏が一貫して関心を寄せている分野です。2009年には同会を退会しています。また、2011年には会社員として勤務していた時期もあります。

インターネット上でも情報発信を行っており、「いきもの通信」や「東京タヌキ探検隊！」といった関連ウェブサイトを通じて、動物や自然に関する様々な情報や自身の活動成果を公開しています。これらの活動は、多くの自然愛好家や一般の人々が動物の世界に触れるきっかけとなっています。

宮本拓海氏は、その多才な能力と、動物や自然科学に対する深い情熱をもって、幅広い層に向けた情報提供を続けており、生物と人間社会の関係性を考える上で重要な視点を提供しています。

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