宮田清藏

宮田 清藏（みやた せいぞう）

日本の工学者である宮田 清藏氏は、1941年5月28日に東京都で誕生しました。専門は有機材料及び高分子材料における電気光学物性という分野であり、この領域における日本の研究教育を長年にわたり牽引してきました。

経歴

宮田氏の学究生活は、東京教育大学理学部化学科で始まりました。1964年に同学を卒業後、東京工業大学（現東京科学大学）大学院に進学し、理工学研究科化学工学専攻にて学びました。1966年に修士課程を修了し、1969年には博士課程を修了して工学博士号を取得しています。大学院時代には、後にノーベル化学賞を受賞する白川英樹氏が研究室の先輩におり、交流がありました。

博士課程修了後、研究者としてのキャリアをスタートさせます。当初、カリフォルニア工科大学からの招聘を受けていましたが、当時の安保闘争の混乱により郵便が届かず、この機会は見送られることとなりました。1969年、東京農工大学工学部に講師として着任し、翌年には助教授に昇任。その後、1982年には念願のカリフォルニア工科大学に客員教授として赴任し、さらに1984年にはベル研究所で客員研究員として国際的な研究活動を展開しました。

1986年に東京農工大学工学部の教授となり、自身の専門分野である有機・高分子材料の研究を深め、後進の指導にあたります。1995年には新設された東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科の初代研究科長を務め、同時に教授として教育・研究体制の構築に尽力しました。この時期には、文部省の重点領域研究である「有機非線形光学材料」において研究代表者を務めるなど、国の重要な研究プロジェクトを牽引しました。

学内での要職に加え、学術団体の活動にも精力的に参加しました。1994年には高分子学会の副会長、1997年には繊維学会の副会長を務め、1999年には繊維学会の会長に就任し、日本の繊維科学・技術の発展に貢献しました。そして2001年、東京農工大学の学長に就任し、大学運営のトップとしてリーダーシップを発揮しました。

学長退任後も、宮田氏の活動は多岐にわたりました。2005年には東京農工大学名誉教授の称号を受け、新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）のプログラムマネージャーとして国のエネルギー関連技術開発に関与しました。また、東京工業大学国際高分子基礎研究センターや電気通信大学において特任教授や監事を務め、研究教育の現場に留まりました。2009年には科学技術振興機構（JST）のシニアプログラムオフィサーとして、科学技術の振興に貢献。2010年には新たに設立されたフロンティアサロン財団の代表理事に就任し、その運営に携わりました。

地域社会への貢献としては、西東京市において教育委員会の要職を務めました。教育委員長職務代理者や教育長職務代理者を歴任し、2016年には前任者の辞職に伴い教育長の職務代行者という重責も担いました。その他にも、電気通信大学産学官連携センター特任教授、吉田科学技術財団選考委員、国際生物学オリンピック2020長崎大会組織委員会委員など、幅広い分野でその知識と経験を活かしました。

受章・受賞

長年の研究、教育、そして社会貢献における多大な功績は高く評価され、数々の賞を受章しています。

高分子学会賞（1985年）
高分子科学功績賞（2002年）
フランス共和国教育功労章オフィシエ（2004年）
繊維学会功績賞（2005年）
瑞宝中綬章（2017年）
西東京市市政表彰（2018年）

宮田清藏氏は、工学者として第一線で研究を進める傍ら、大学の学長として教育機関の発展に貢献し、さらに学術団体のリーダー、国の科学技術政策への参画、地域の教育行政への関与など、多岐にわたる分野で重要な役割を果たした人物です。

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